誕生日
「無理だってー!あたしお菓子作りなんてできないよ!?」
「いいじゃんいいじゃん愛する旦那の為に作ってあげなよ!」
家庭科の授業中、来週の家庭科で調理実習することが決まりデザート作りをしようとみんなが言い始めたのである。
お菓子なんてまともなのを1つも作ったことのないあたしは抗議をした。
「無理無理無理無理無理無理!赤山に下手なもの食べさせられない!!」
全力で否定してなんとかあたしたちの班だけ主食にしようと駄々こねたが
「主食なんて可愛げないもん差し入れできるわけないでしょ!?」
と一掃され残念な結果に終わった。

「むーりー、お菓子なんて作れないー」
「はは、しかも来週か赤山喜ぶよ」
「折角の誕生日なんだし良いんじゃないの?」
「松尾まで!?えー、無理無理、死ぬ」
そう、なんて言ったって来週は赤山の誕生日。本人もちょっと期待しているのかソワソワしている。
「…無理…、無理…、」
「タクー!なし子が溶け始めてるから治してー」
「なし子?どうした?具合悪いのか?」
「赤山んんんっ」
「おま、流石に抱きつくのはっ」
「むーりー、充電させてーー!」
「重症だなコレ」


「砂糖60グラム?バター100グラム?えー!説明が少々とか適量とかじゃないー!」
「あんたそれ適当にやるとしっかり膨らまないからね!?赤山くんに変なの食べさせたいの!?」
「やーーだーーー!!」
「そこの班少しは大人しくやりなさい!!」
怒涛の家庭科の授業が始まった。
男子は男子で違う調理室で実習中だ。赤山にこんな姿見られなくてホッとするが料理をする赤山を見れないのが残念でもあった。
「エプロンとかつけて可愛いんだろうなあ〜」
「はいはい、赤山くん可愛いとか言えるのあんたくらいだからね」
「惚気てないでしっかり溶かして」
「惚気てないし!あっぶな!!お湯入るとこだった!」
「お湯入れたらマジ最初から1人でやらせるからね」
「はぃ…」


「で、できたっ!!!」
「最初はどうかと思ったけど上手く出来た出来た」
無事完成したのはマフィン各々チョコチップが混ざっていたり果物が混ざっている。
あたしのは季節感を出したくてさつまいもを混ぜ込んだ
「さ!!ラッピングしたら完成〜!サッカー部に差し入れしよ〜」
「私は友達にでもあげてこよ〜」
「あんたはしっかり赤山くんに渡すんだよ!いいね!」
「は、はぃ…」
友人の剣幕に押されたが本当にコレは人が食べて大丈夫に出来たのだろうか?
悶々と考え教室に戻るまで彼が前から来ているのに気がつかなかった。
「なし子?」
「うわぁあ!?」
「なに持ってるんだ?」
「何もない!!!」
「なぜ隠す」
「あ、いや、その」
「そういえば女子はデザート作りと聞いたが?」
「ひっ、」
珍しく意地悪い顔で攻めてくる赤山。
知られていたのならば逃げ道はもうない。
ジリジリと後ろに下がるが手を掴まれた。
「出せ」
「うぅ…脅しだあ…」

場所を変え部室へと移動した。
甘いものを目の前にした赤山は本当に可愛い。目がキラキラしてる。カメラに収めたい。
いただきますと行儀よく言うと大きな口で一口かじりついた。
「うまい」
「っ!!」
「お世辞とかじゃなく本当にうまい」
「せぎざ…」
「俺は幸せ者だ」
ふにゃりと笑う赤山に心拍数は勝手に上がり無性に抱きつきたくなった。
「ハグしていい?」
「改まってなんだ?構わないが」
ホラ、と両手を広げてくれる彼に勢いおく突っ込んだ
「中々なタックルだな」
「ハグですー」
冗談を言い合ってクスクスと笑い合う
可愛い赤山を少しでも長く見ていたくて見上げれば彼もこちらを見下ろしていた。

「お誕生日おめでとう赤山」
「ありがとな」
「プレゼントは帰りに渡すね」
「楽しみにしてる」

「なああいつら部室ってわかってんのか?」
「お熱いねえー」
部室前には着替えに来た八王子達が苦笑いで中の様子を伺っていた。

(セッキー!なし子からのプレゼントなにもらったんだよ〜!
(タオルとボトルだ
(タオルと…ボトル。
(日常的にも練習にも使える。いい貰い物をした
(いや、赤山が良いならいいんだけどね俺ら
(?あぁ?


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bkm
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