「なし子、その、なんだ」
「?どーしたの?」
「い、いい天気だな」
「おやー?この状態の赤山にデジャブを感じるぞー?」
お昼休みの出来事だった。
いつものメンバーで食べると思いきや2人で食べたいと珍しく言い出した。
ゆっくりと過ごす為に中庭のベンチで食べることにしたのだがなんだかソワソワしている。
「お腹すいたの?あたしお弁当の食べる?」
「いや、違うんだ、腹の減りは大丈夫だ」
顔は何処となく赤いしキョロキョロと視線をあっちこっちに彷徨わせている。
「…なんかまた言われたの?」
「っ、いや、その、だな?」
「もう少し段階を進みたいと行ったら怒るか?」
「えっとそれはつまり」
「抱きしめあったり、キ…キ、キスがしたい」
「ぶふっ!!」
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫、うん、大丈夫」
「いや、焦りすぎたなもう少し時間をかけよう」
「いやいや、付き合って3ヶ月は余裕に過ぎてるのに進展がなさすぎだったんだよ!」
「そ、うか、なし子がそう言うなら問題はないな…」
そう言うや否や彼は勢いよく立ち上がり
バッと両手を広げ真っ赤な顔で言い放った。
「よ、よし、こぉおおい!!」
「ロマンもかけらもない!!!」
そのまま昼休みは終わってしまい部活そして帰宅時間になってしまった。
こうやって下校の時などに手を繋ぐのは当たり前になっていて手から伝わる暖かさに顔が緩みそうになる。
これは自分からも行かなきゃ進まないなと思い途中の公園前で歩みを止めた
「…?どうした?」
「お昼の時ね、進展したいって言ってくれて嬉しかった」
「っ、あぁ、」
「あたしからハグしても別にいいんだけどさ、赤山から来て欲しい…かな?」
「…俺から抱きしめたらきっと痛いだろうし力加減がわからん」
「赤山」
「なん、」
ぺちりと頭を叩き背の高い彼を見上げる。
「考えすぎ、赤山にハグされたら痛いとか通り越して嬉しいに決まってるじゃん」
「っ、」
「恋人同士なんだからさ」
ぎゅうっと胸が締め付けられ赤山はどうしようもなく抱きしめたい衝動にかられ恐る恐るギュッと抱きしめた。
「っ、なし子っ」
「し、心臓ドキドキしてるね」
「そりゃあな」
「あったかいね」
「暑いぐらいだな」
「赤山」
「なんだ?」
「改めて好き」
「っ、あぁ、俺も、その、好きだ」
さっきより少し力がこもった腕に幸せを噛みしめるのであった。