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何はともあれ爆弾発言で驚いた後
帽子の男は空条承太郎、
赤毛の男は花京院典明とそれぞれ自己紹介をした。

「キミがハーフなのも驚きだけどね」
「誰がバリバリのジャパニーズ顔だ」
「そうは言ってないんだけどなあ…」
スティーブンはふて腐るなし子に苦笑いを浮かべた。
それから、なし子が居なくなった後の彼らの世界についての話になった。
世界の巡回を止めたのは唯一生き残っていたエンポリオという少年、
そしてその後世界はまた一巡した後世界が混ざり合ったという

「じゃあ今は色んな世界が混ざり合ってるってこと?」
「そうだな、いろんな世代が勢ぞろいだ」
「DIOも生きてますしね、今はハルノくん達の子育てに奮闘してます」
「ナニソレコワイ」

スティーブンは笑いあうなし子をみて物寂しさを感じていた。

「これで、よかったんだ」
「彼女の悲願も達成されたのだな」
「…そうだね」
そう、彼女は帰れる、喜ばしいことこの上ないじゃないか、
スティーブンは少し心に空く穴に無視を決め込んだ。


「でも、これでやっと落ち着けるんだね、」
ひとしきり笑いあったなし子はベッドに背を預けゆっくりと息を吐く。
彼女もこれで平穏が訪れ慣れ親しんだ奇妙な生活を思い出す。

すると今まで朗らかに笑っていた花京院達の表情が固まった。
そんな彼らになし子は首を傾げた。

「?花京院どうした??」

「…落ち着いて聞いて欲しい、」
意を決したように口を開く花京院。

「何々〜もったいぶらないでよ〜」
なし子に至ってはお気楽に笑っていたが放たれた言葉にそれは固まった。

「…君が異なる世界に飛ばされてそれと同時に生まれてしまったんだ」

「え?」


その言葉は残酷なものだった。






「もう一人のキミが」






「花京院、どうゆう…こと?」

「キミが僕ら側の世界を出てしまったせいで世界は新たなキミを作り出してしまったんだ」

「僕と同い年で、姿も、声も、名前もそっくりなキミだ」

「だが、生きて共に巡回していたエンポリオが気づいたんだ。”なし子だけ違和感がある”とな」

「そしてSPW財団で色々調べてもらって世界に亀裂が生じているということが分かってな」

「俺達がこっちにいるお前が居ると気づいたのもそのおかげだ」

「そう・・・だったんだ」
視線を彼らから自分の手に目線を移す。
これ以上聞きたくない。
なにそれ、もう一人のあたし?
じゃあエンポリオが気が付くまであたしのこと忘れてたの?
グルグルと思考が混ざるが話は紡がれる。

「でも、向うの彼女もまた君と同じ存在で大切なんだ、」
「出来ればお前にも生きてほしいし彼女も生きてほしい、」



「だから、君には酷な選択を言い渡すことができない、」




「この世界に残ってくれ」


構えてはいたが
鈍器で頭を殴られたかのような衝撃だった。
じゃあ、あの頃のあたしはなんのために何年も何年も
助けるため奮闘したのだろう。
ひょっこり世界が生み出した違うあたしによって世界は平和をもたされただなんて
まるで、あたしが・・・・

ドッドッドッと心臓がうるさい、

花京院の顔をただひたすら見ることしかできない

なにか言わなきゃ、

大丈夫だよって、

気にすんなそんなことって、


笑わなきゃ






「それは随分と身勝手じゃないかい?」







口を開いたのは





今まで傍聴をきめていたスティーブンだった。



「スティーブン!」

「言ってくれるねこっちは彼女を連れて帰りたい、だけど向うの彼女を殺せっていうのかい?」

「彼女はこちらに不本意で来てしまった彼女は帰りたいという一心で生きていた」

「だけど…彼女をこちらの世界に連れ帰れば世界の均衡は崩れる」

「ならば何故会いに来たんだい?」

まさに”一触即発”流石にヤバイ空気を読む事だけは長けているザップは
レオと共にこっそりと病室外へ避難した。
顔に余裕を浮かべニッコリと顔を張りつかせスティーブンは「まぁ、でも」と言葉を続けた。

「任せてくれこの子を渡す気なんて最初からない」

「どうゆうことかな?」

「この子はうちにとってかけがえのないメンバーだ僕個人にとってもね」

「・・・は?」

サラリととんでもないことを言いのけた優男に目を見開くが
当の本人はニコリと笑い長い脚を優雅に組んでいた。

「さて、おひきとり願おう」

「いや、あの、まっ」

「なし子、安静にするように。クラウス、場所を移そう」

「あ、あぁ」

男たちは立ち上がり病室を後にする。
パタンと閉じられた扉をジッと見ることしかできなくて、


「あんたも大変ねなし子っち」


K.Kの呟きにも対応することができなかった。


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bkm
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