16
「なんでここに」

16


今、目の前にいる人物はホンモノなのだろうか、はたまた瀕死寸前で
幻覚を見ているのか

「焦るな、落ち着いて呼吸を整えろ」

だがこのぬくもりは匂いは本物だ

「俺の可愛いジラソーレ」

目の前の人物はゆっくりと背中をたたき呼吸を促す

「あぁ、そう、それでいい呼吸をしろ」

「やれやれ、見つけ出したと思ったらテメェはいつもボロボロだな」

「あぁ・・・・そんな・・・・」

涙がこぼれ落ちた。


目の前にはかつての戦友とも呼べる幼馴染
そして自分の師匠であり祖父である男がそこにいた。



「さて、と」

ゆっくりとなし子から離れ、帽子の男の所へ移動するイタリア男

「俺の可愛いなし子を傷つけた事、償ってもらおうか」

イタリア男は手の感触を確かめるように開いたり閉じたりしそれを帽子の男は横目で見やる

「感動の再会をまだしててもいいんだが?」

「・・・お前も中々キレているな」

「あなたがたは…」

そんな男たちに近くで応戦していたクラウスが問いかける

「話は後だそちらの方は任せる。こちらの吸血鬼は我々に任せてくれ」

男はクラウスの方を見ることなくそう告げる。
これ以上の言葉はいらない。なんだか彼女と初めて会った時のことを思い出した。

「ご協力感謝する」

クラウスは短く告げ
まずは倒すことのみに専念した。


「まさか、そんな、ありえない」

ふっとばされた吸血鬼は顔を青ざめる。
殴られたことが相当ショックなのだろう
ブツブツと何かを呟いていた。

「太陽の下で動ける吸血鬼なんざ虫唾が走るな」
「まったくだ、小僧足引っ張るんじゃあないぜ」
「何言ってやがる年増」

男達は吸血鬼に向かって走る。
イタリア男は一定に距離を詰めると立ち止まり手を合わせた
そして呼吸を整え

「シャボン…カッタァァア!!」

バッと手を広げればそこから大量のシャボンが発生した。
そしてそのシャボンは鋭く回転し吸血鬼に向かって飛んでいく
そのシャボンに沿って帽子の男が距離を詰める

「ぐっ、なんなんだこれは!!」
バチバチと音を立てて切り裂いてくるシャボンに戸惑いを浮かべ
それを気にするあまり吸血鬼の視界には男は入っていなかった。
「オラァ!!」
野太い咆哮と共に思い拳が顔面へと撃ち込まれる。

「がっ」
勢いよく後ろの壁にまた頭を打ち付け吸血鬼はよろけるが、
やられっぱなしというわけでもなく彼のスタンドが姿を現し
帽子の男へと反撃を試みる。

「クソガァア!!」
相手のスタンドから拳と男のスタンドの拳がぶつかり合う
激しいラッシュの衝動にあたりは激しく揺れた。

「死ねぇえ!!」
「オラァ!!!」

だがスピードは圧倒的に帽子の男が上回り吸血鬼のスタンドの脇が
がら空きになったその瞬間を見逃さずかかさず拳を繰り出した。



「・・・・ぐっ…これほど、までとはっ」

帽子の男のスタンドが放った拳は腹部を捕らえ
吸血鬼のスタンドはそれによってヒビが入る
重力に逆らわずその場に倒れ吸血鬼は動かなくなった。

「終わったか、」
シュゥゥと音を立てて溶け始める吸血鬼をひと睨みし踵を返す。



「ははっ」


「!!」

バッと振り返ればぐったりとそこに倒れた男は軽く笑ったと同時に裂けた身体から血管が飛び出した。
その血管は吸血鬼の体を引きずるように動きなし子の方へと体を向けた



「まずい、なし子!!」



「あっ」

吸血鬼の血管がなし子に向かってきた。
ぼやける視界に男をがこっちに来る姿を見てなし子は

――あ、これ死ぬ。

だが、そんな思考も視界を覆うものに目を奪われた。




それはひどく美しいエメラルド色に光る紐だった。

「なっ!これ…は!?」

紐はなし子を包み。また吸血鬼を縛り上げた。

「許したまえ、我が蛮行をっ」

「!?」

吸血鬼の目には
エメラルドから紅が視界を覆いつくした。
クラウスは拳を振り上げ技名を叫ぶ

「クッソガァアアアアアア!!!」

吸血鬼は叫びもがきながら紅に包まれていき、

カツンと赤黒く輝くロザリオがひとつその場に落ちた。



警察が来てややこしくなる前にということで病院に運ばれた。
もちろん先ほど共闘した2人も一緒である。
なし子は特にひどく怪我をしたため病室にぶち込まれていた。
そんな彼女の知り合いとライブラメンバーは彼女の病室で顔を合わせていた。

「ホントに、ホントにあたしの知ってる2人なんだよね?」
「当り前だろう」
「馬鹿なこと言うんじゃあない」


顔見知る二人を目の前になし子は


ジワリと胸が温まった。








「…こんのスカタン!!!!」

「いだだだだだだ!!!波紋やめて!暴力反対!!!」

いきなり金髪の男のゲンコツがなし子の頭めがけて下され

「オラ、額だしな」

帽子の男はゴキリと指を鳴らした。

「それ多分死ぬヤツ!!」


先ほどの空気とは異なりワイワイと騒がしくなる

そんな中、静かに病室のドアが開かれ赤毛の男が入室してきた。
一同はそちらの方へ顔を向け、なし子に至っては動きが止まった。
コツリコツリと革靴の音を立てながらゆっくりと近づき
一回深呼吸をし、息を吐き出す。そして彼女の名前を紡いだ。

「なし子・・・」

「・・・・」

「元気、でした?」

「っ!!!花京院っ!!」

なし子は勢いよく男へ抱き着いた
男はしっかりとなし子を抱きしめ背を屈めた。

「花京院!花京院なんだな!?」

「えぇ、君の知ってる花京院は僕ぐらいじゃないかな?」

「花京院っ!!」

顔を寄せ合う光景はさながら父と子の様に見え

「老けたねぇ」
「キミはまだ20代かい?羨ましいなあ」
「ふふ、10代なんて言ったら殴ろうと思ったのに」
「流石に今の君に殴りかかられたら避けれないなあ」

「ホントに・・・生きてるんだね」

「えぇ、君のおかげで」

年離れた恋人の様にも見えた。


「そろそろ説明してくれないか?」

そこへニッコリと営業用の顔を張り付けたスティーブンが水を差した

「私たちはライブラという組織で、私がリーダーのクラウス・V・ラインヘルツと申します。」
クラウスが一応の紹介をする

「あぁ、申し遅れたな、俺はシーザー・ツェペリ、なし子の祖父だ」

一瞬にして沈黙が走る

どう見ても目の前のイタリア男は30代後半いくら祖父と言っても若すぎる

「あー、こう見えてこのひと60過ぎだから」

また一つの爆弾が投下された

――――
はい、JOJO組きました。
シーザーちゃんがおじいちゃまです。
ちなみに「ジラソーレ」はイタリア語でひまわりです。


prev next

bkm
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -