部活にいく準備をしていると、隣のクラスで同じバスケ部の福井が自分のクラスに入ってくるかのように堂々と入ってきた。
「おいゴリラ、」
「……なんじゃ」
「今日の部活休みだってよ」
「急じゃな」
「なんか体育館が他のに使われるからだってよ」
「そうか」
用事を済ませたので帰るだろうとまた鞄に視線を落とすが福井の気配が消える様子がみえず不思議に思い相手をみると、何か言いにくそうに目を泳がせていた。
「どうした?」
「や、あのさあ、今日…暇か?」
「暇じゃが?」
そう言うと福井はきょろきょろと目を宙に浮かしながらポケットから財布を取り出して中から何か紙を取り出した。何なのかと見てみると最近CMで放送されてたラブコメディ映画の前売り券。
「よかったらでいいんだけど、その、映画いかね…?」
一度家に帰って着替えてから行くことになり、適当に着替えて待ち合わせの駅前にいくと福井は既に来ていた。寒そうにはあ、と指を温めている姿からついてから時間が経っているのだと思わせる。福井と目が合うとぱっと片手を上げてきたので片手を上げて挨拶する。
「悪いのう…待たせたか?」
「んにゃ今来たとこ。どうする?まだ時間あるし飯でも食うか?」
「そうじゃのう…そうするか」
そのまま近くのファミレスに行き、案内された席に向かいあわせに座り店員を呼び、店員が来るとメニューを指差しながら注文した。
「えーとチキンドリアと食後にパフェを」
「ミックスグリルで」
「おいおいバナナはいいのかよアゴリラ」
「ダレがアゴリラじゃ!!」
頼み終わり最近見たドラマだとかバラエティの話をしていると程なくして頼んでいた料理がきていただきますと手を合わせてから食べ始める。
「で、その映画はどんな内容なんじゃ?」
「えと、なんかー……」
持ってきていた映画広告をみせながら簡単な粗筋を説明してくれた。そういえば最近周りのクラスメイトが人気のアイドルが主役だとかなんだとかと騒いでいた気がする。女だったけれど。
「そうなんかあ…」
適当に相槌を打っていると福井は手首に付けていた時計で時間を確認すると立ち上がった。
「ん、そろそろ時間だし行くか?」
「そうじゃのう」
「…………」
見始めてから一時間半が経過。物語も終盤に差し掛かり主人公の女が二股していた男に掴み掛かっている。恋愛映画と聞いていたがこれはもうコメディの領域に近い。ただ、隣の金髪はそうでもなかったようでぐずぐずと鼻をすすっている。この映画のどのポイントに泣く要素があったのか…
ごしごしと目を擦っている手首を掴むときょとんとした顔で(薄暗いのでなんとなくだが)耳元に話し掛ける。
「あんま目擦んな…傷が付くぞ」
「っ……おう、」
こくりと頷くとタオルハンカチを取り出して目を押さえるようにしてまた画面に向かった。タオルがあるなら先に取り出して使えばいいものを…と思うが大きな効果音に画面の方を見てしまい、そのまま流れるエンドロールをぼうっと見た。
映画館を出てそのまま近くのマジバに行った。冬は日が落ちるのも早いのもあり外は既に薄暗くなっていた。福井はいまだに鼻を鳴らしており、時たま思い出してしまうのか目を潤ませていた。
「あー…もう…泣いた」
「そうか…」
「主人公が二股野郎にアイアンクロウ仕掛けるシーンがなあ…」
「…」
福井のツボがよくわからなくてなんともいえなかったが、楽しそうに映画の感想を話す福井は可愛かった。相手を見ているとワシの方をじっとみて言いにくそうにぱくぱくと口を動かして、恥ずかしそうに顔を赤らめながら目を逸らして、
「岡村、その、さんきゅ」
「…おう」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
岡村、口調難しいでした‘∞‘
山とか、落ちとかないですね((∵))
リクありがとうございました!
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