*幼少期赤紫
*赤紫は幼なじみ


ボクはこの身長が嫌いだった。

「赤ちーん」

赤司が玄関前で本を読んで待っていると泣きながら紫原が歩いてきた。赤司のとこまでくるとしゃがみこみ、人目も憚らずに泣きだした。

「どうしたんだ?アツシ」

「女の子に嫌われたあ…!!」










「教科書忘れちゃったー」

隣のクラスの赤司と帰ろうと正面玄関に向かうが、明日使う算数の教科書を忘れたのを思い出して自分のクラスに戻った。

放課後だがまだ人はいて、各々がクラブ活動やおしゃべりに夢中になっていた。紫原のクラスも例外ではなく、教室の中から楽しそうな笑い声が聞こえる。紫原は入りにくそうにドアの前で立ち尽くし、中から聞こえる声を聞いた。

『やっぱさーこの学年で一番格好いいのって、赤司君だよねー!!』

(わー赤ちん人気だー)

『だよねー!!』

『彼女とかいるのかなー?』

『えーいないでしょー?だってさあ…』

『ああ、紫原君?』

(え、俺?)

急に呼ばれた驚きで目をぱちくりとさせた。赤ちんに彼女がいない理由になんで自分が関係あるのかが全く理解できなかった。

『いっつも一緒だよねー』

『ほーんと、怖いよね…無駄におっきいし』

ぐさっ

『何かんがえてんのかわかんないしー』

ぐさぐさっ

『ミステリアスっていうより餓鬼っぽいよね』

ぐさぐさぐさっ

女の子達の笑い声が響く。








「僕だって…!!」





「僕だってこんな大きくなりたくなかった!!!小さくなりたい!!」


「この腕だって、」


「この足だって」




「もっと!!もっと小さくなりたかった!!!!」



「もぉ…やだよ………赤ちん…!!」


「アツシ………」











「よし、バスケをしよう」

「は…?」

赤司の言葉に意味がわからず、紫原は涙を流しながらも目をぱちくりと丸くした。赤司はしゃがみこむとなだめるように頭を撫でにこりと微笑んだ。

「なん、で…?」

「単純にアツシに向いてるからだよ。使い道がないから身長がほしくない、なら身長の使い道をつくろうじゃないか」

「でも、なんで、僕がバスケに…?」

運動神経が悪いわけではないが動き回るのが嫌いな紫原にとって身長の使い道がバスケというのは意外だった。

「アツシは身長も高いし反射神経もいい、だからボールにもすぐに反応できる。動きたくないなら必要最小限にしか動かなくていいし、ね?」

「でも…」

「ボクとしては、アツシが来てくれたら嬉しいなあ…」

「んー…じゃあ……する」

そういって紫原は小さく頷いた。それをみて満足そうに赤司は微笑んだ。










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9月に出したコピ本を小説化しました
実はこれには続きがありますが書くかどうかはまだ未定←