*幼なじみ設定
*遠距離
*洛山vs秀徳後
洛山に負けた。悔しくなかったと言えば嘘になる。大好きなアイドルが出演している歌番組やバラエティ、ドラマも全部我慢して最後の大きな大会に挑んだというのに、結果は準決勝敗退。年下の敵に自分にとって一番得意だと思っていたドリブルで負けた。しかも相手は本気を出していなかった。
「三本でいい…、か」
自重気味に相手に言われた言葉を口にする。言葉は誰に届くわけもなく、ただ廊下の壁に吸収されるだけだった。
キュッキュッというスニーカーの音に顔を上げると福井がいた。
「よお」
「…ん」
福井が軽く手をあげたので応えるように片手を上げて目を逸らした。恋人の顔をみただけで安心して泣きそうになった。福井は俺の隣に座り子供をあやすかのようにくしゃりと頭を撫でてきた。
「お疲れ、」
「ああ…」
「負けちまったな」
「……ああ」
「もう次がねえんたな…」
「……、ああ…」
福井は俺を見るわけでもなくただ宙を見上げてぽつりぽつりと俺に言ってるのかそれとも独り言なのかわからないくらいの声でつぶやいた。俺はうつむいたままそれに答えていたが気付いたら相手を強く抱き締めていた。福井は背中に腕を回してとん、とん、と優しくたたいてきた。
「お疲れ様」
「……」
頬に濡れた感覚とそれを拭うように福井の手が頬に触れた。涙は暖かく、そして触れる福井の手は冷たかった。それが妙に心地よくて相手の手に手を重ねて擦り寄った。
「泣いてんじゃねえよ、轢くぞ?」
「うっせえよ犯すぞ?」
福井が茶化すように俺の口癖を真似してきたのではっと鼻で笑い、相手の手の甲に重ねていた手を相手の後頭部に回して引き寄せて唇を触れ合わせる。
唇を離せばどちらからともなくくすくすと笑いあった。
もう涙は出なかった
くっそ甘い∵
ちょっと最後のはやってみたかったので
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