*大学生
*ルームシェア宮福
〜♪
二人で部屋でくつろいでいると彼の携帯から最近流行りのアイドルグループの着メロが流れた。彼の携帯でこの着メロなのは一人だけだ。
「でないの?」
「だるい」
「出ないともっと面倒なことになるよ?」
彼はバリバリと頭を掻き、延々と流れるお気楽なメロディに苛々としながら電話に出た。
「はいもしも―」
『お゛いごるあ゛健介!!!!てめえ今どこだ!!!!!!!!』
ここからでもしっかりと聞こえる大きな声。彼…福井健介は携帯から耳を離して顔をしかめて耳を押さえながらこちらをちらりと見た。俺が肩をすくめてみせるとはあ、と一つ溜め息をつきまた携帯を耳に当てた。
「何……今?……うっせえな別に俺の勝手だろ……ちっ…たかがそんぐらいでうっせ…だーもううっせえ!!!!!!!!」
1分程でぶちっと電話はおろか電源を落としてしまった。宮地の短気っぷりも凄いが福井も中々の短気だ。携帯をベッドに投げ捨てるとごろんと横になった。俺は小さく嘆息して福井の隣に座って頭をくしゃくしゃと撫でた。嫌がるように首を振っている様子はまるで機嫌の悪い猫のようだった。
「今度はどうしたのー?」
「……………」
俯せになってだんまりを決め込んでいるようだった。機嫌が悪いときはいつもなので気にしないでまた独り言のように呟いた。
「福井は怒りっぽいけど今回はなんかあったんだよねー?」
「………」
「宮地も、すぐに轢くとか言ってるけど」
「……うん…」
「何があったの?」
寝返りを打ってこちらに顔をみせたので優しく頭を撫でると少し機嫌がよくなったのか大人しく撫でられていた。
「…あいつさ、アイドルオタクじゃん」
「うん」
「明後日さあ…その……一応、付き合い始めて、三年なんだよ…」
「もう三年かあ…」
「んで、前から明後日は二人で過ごそうって話してたのに…なのに…!!!」
そういうとじたばたと足をばたつかせいらついたように枕をぼすぼすと叩きつけるように振り回した。俺のなんだけどなあ…一応…
「昨日いきなりライブがあるだあ!!!?あ゛ーもうくっそ!!!!!!!!」
「福井…ちょっと声抑えて……」
「う…すまん……」
「でも、なんで宮地も怒ってんのー?」
「そ、それは…その…あいつの推しメンのポスターを破いちゃった…から……」
その言葉に苦笑以上に呆れてしまった。それで怒らない奴はいないだろう。
「確かに約束を忘れてたのはいけないけどポスター破くのは酷いよー」
「だよなあ……なあ…どうしらいい?」
見ると福井はぼろぼろと大粒の涙を流していた。今になって自分のしたことを後悔してるのだろう。口は悪いがいつも相手の事を一番に考えている。しかも相手は一番大切な恋人だ。上半身を抱き起こして優しく抱き締める。髪を撫でると首元に顔を押しつけてくる。シャツが染みを作っていくのが肩ごしにわかる。抱き締めていると地響きのような音と共にドアが壊れんばかりの悲鳴を上げて開く音がした。何事かとそちらをみると土足なのも構わずにずんずんと鬼の形相をした宮地と目が合った。こちらは泣いている彼女(?)をベッドの上で抱き締めている二人の友人。般若の矛先が変わるのをひしひしと感じた。
「なっ!!!!!!!てめえ俺の福井に何やってんだよ!!!!?轢くぞ!!!!!!?」
「ちょ、それは誤解だよ…」
何も悪いことをしてはいないんだが両手を上げて降参のポーズをした。福井は相手を見ると飛び付くように駆け寄って抱き締めた。抱き締められた本人は目を丸くしていて少し面白かった。
「ごめん…!!!!俺…!」
「健介…いや、その…俺も悪かった…」
「ポスター…ほんとどうしたら…」
「いいよ…また違うの違うの買えばいいし…ライブも行かないから」
「なっせっかくだし行けよ…」
「いいんだよ、行かなくて」
二人で力一杯抱き締めあっているのをベッドで腰掛けたまま見る。宮地が俺を見て困ったように微笑んだ。
「すまねえな、なんか」
「いやーそれは全然構わないよーたださあ宮地」
「なんだ?」
「靴を脱いできて」
―――――――
懺悔します
宮地先輩と春日先輩の口調がわかりません
福井先輩を女々しくさせすぎました…
補足しますと宮地先輩が春日先輩のとこにきたのはよく福井先輩が駆け込み寺するからです
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