ヒロトは綺麗だった。病的なほど白い肌に、その肌をより白く引き立てる綺麗な深紅の髪。 それは全て俺のものだった。髪も目も体も心もヒロトの全て俺のものだった。 「ヒロト」 俺が呼ぶとヒロトは小走りで俺に近づいてくる。 「何?風丸君」 ふわふわした笑顔を向けてくれる。この笑顔も俺のだ。 「今日、俺の部屋に…」 俺がそれだけ言うとヒロトは何かを理解して 「あ、うんわかった」 「おーい!ヒロトー!」 ヒロトは円堂と特訓していたらしく、後でね、と言い残して円堂のもとに戻って行った。ヒロトと円堂が笑顔で話している姿を見ていると、 「感情が表情にでてるよ」 「………吹雪か」 いつの間にか後ろに吹雪がいた。吹雪はくすくすて笑いながら俺の隣に移動してきた。 「そんなに表情にでてるか?」 「独占欲むき出しの顔。『ヒロトは俺のものだ』ってオーラ付きで」 「一応顔に出ないように心がけているのだけど」 吹雪はこういうことに関しては鬼道より勘が鋭い。ヒロトと俺の関係に一番最初に気が付いたのも吹雪だった。 「風丸君って独占欲強いよね。ヒロト君が他の人と話している姿を見るのもそんな顔で見ているところを見ると」 「これでも譲歩しているほうだけどね」 本当なら隠して誰の目にも触れさせたくない。ヒロトは俺だけ見ていればいいのに… 吹雪はそれ以上言わない。でも俺のそんな感情すら見透かしているような顔をしていた。 |