「ねえ、ジュダルくん。
もし僕達が敵同士じゃなかったら、今頃どうなってたと思う?」
木に寄りかかかるように座り、目を閉じている君に僕は話し掛ける。
「君がおじさんを王に選んでシンドリアのマギになって、僕がアリババくんを王に選んでバルバッドのマギになって……。もしかすると凄く平和な世界になってたんじゃないかなぁ……」
それが、僕の理想。
夢見ていた未来。
「どこで間違えちゃったんだろうね、僕達は……」
涙で頬を濡らしながら僕は君の手を握る。
酷く冷たく感じるのは、
きっと君の心が温かいからだ。
「こんな結末、誰も望んでいなかったのにね。
皆が悲しくなっちゃうだけなのにね……」
そう言いながら、僕はジュダルくんに寄り添った。
冷たすぎる体温を肌で感じる。
何の音もしない胸に耳を澄ます。
「ねえ、ジュダルくん……」
僕の涙が君の服を濡らした。それでもお構いなしに僕の目から溢れ出る涙は止まらなかった。
「何か言ってよ……!」
届かない言葉。
戻らない声。