二人の旅








「……勉強したら、アラジンは褒めてくれる?」



「え………」




忘れていた。
この子には両親がいないんだ。

じゃあ、この子は今僕に何を求めている?



「どうやったら、アラジンは俺のことを好きになってくれるの?」



次第に涙声になるジュダル。瞳に溜まっていた涙は溢れ出し、彼の頬を伝っていた。



「俺のこと、嫌いにならないで…。見捨てたりしないでくれよ……」



そっか………この子は


自分を想ってくれる人から

愛情をくれた人から

ずっと一緒にいた人から




突き放されるという経験を既に一度しているんじゃないか。




「勉強するから……勉強して、アラジンみたいな立派な
「マギ」になるから……」



溢れて止まらない涙を必死に拭いながら、ジュダルはその場に座り込んでしまった。
俯いた彼の口からは嗚咽が聞こえる。



(やっぱりこの子、人に突き放されるのを極端に怖がってるんだ……)


それなのに、僕はなんて酷いことを彼にしてしまったのだろうか。

認めよう。
今回の件は間違いなく僕が悪い。



「ねぇジュダル、聞いておくれ」



「……?」



顔を上げるジュダル。しかし、まだ涙は止まっていない。



「あのね、僕はジュダルのことを嫌いになったことなんて一度もないんだよ。
それに、これから先も君のことを嫌いになったりなんかしない。

魔法のことで煩く言うのは、早くジュダルに一人前の
「マギ」になってもらって、僕のサポートをしてほいからなんだ」



「アラジンのサポート……」



その言葉を噛み締めるように呟くジュダル。

そしてアラジンをじっと見据え、声を張り上げた。



「俺、頑張るよ!アラジンみたいに強くなって、アラジンの役に立ちたい!!
だから、ずっと―――――」




「うん。ずっと―――――」



僕らはお互いの顔を見て笑い合う。




「「一緒だよ!!」」








それがどんなに安易な考えなのか分かっている。

それが叶わないことくらい知っている。




だけど、今は………







今だけは、この笑顔を裏切りたくなかった。








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