まだ、遠いA
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ジュダルside
バルバッドの大革命から数ヶ月後、俺は煌帝国の神官として王宮に戻っていた。
とは言ったものの、特に仕事らしい仕事もなく、暇を持て余す毎日が続いている。
(なんか面白れぇことねえかな……)
戻って来てから、ずっとこんな調子だ。
心にぽっかりと穴が空いたような、そんな虚無感がいつまでたっても消えない。
思い当たる原因といえば…
(あのガキ…か)
脳裏をよぎるのは、まだ幼い自分と同じ「マギ」の少年の姿。
白いルフを身にまとい、真っ直ぐで澄んだ目を俺に向けてきた。
出会った瞬間、俺とは真逆の存在なんだと認めざるを得なかった。
どんなに強い魔法が使えても、どれだけ多くの迷宮攻略者を導いても、アイツには勝てない。
所詮俺は、世界の「陰」でしかないのだから。
それをまざまざと見せつけられている気がして、俺は悔しかった。
(そういえば…)
ふと、疑問が頭に浮かぶ。
アイツの怪我は、もう治ったのだろうか。
防御をしていたとは言え、最後のほうは多少傷を負っていた………気がする。
別に、傷つけたことをずっと気にしてたわけじゃねえし。…………多分。
もうちょっと向かい合って話を聞いてやっても良かったんじゃないか、なんて、微塵も思ってねぇから。
多少は思ったけど。
「ははっ……」
(バカみてぇ)
込み上げてきたのは自分への嘲笑。
でも、まぁ
(少し顔を見るくらい、
いいよな?)
このあとジュダルがシンドリアまで夜の散歩に出掛けたのは、言うまでもない。