今日は何の日?






「ま…待てよ!!」


「……何」


ジュダルって意外としつこい人だな……。
別に、「意外」ではなかったけれど。


「このチョコの意味だけ教えろ」


「お、お世話にn「いや、俺むしろおまえらの邪魔しかしてないぞ」」


「じ……じゃあ、親s「そんなに親しくはない」」


この人が僕に何を言わせたいのか、何を言ってほしいのか……本当は分かってる。

だけど…………



「いい加減しつこいよ。
さっさと部屋から出てってよ」



本当の気持ちなんて、言えるわけないじゃないか。



「早急に」



ちょっと意地悪な君のことが



「立ち去って」



僕のことを想っててくれる君のことが



「……わかったよ」




本当は











「大好き」





だなんて…………。



















「お、お前……今何て?」




ん?


アレッ?




「僕、何か言った?」



完全に無意識だった。

何て言ったんだろう……。




「い…いいいいまお前、
だっ……


『大好き』って…」




…………………

嘘だ。


嘘だ嘘だ嘘だ!!!!



「そんなこと言ってない!!」


「いや、確かに聞いたぜ」


「絶対言ってない!言ってないってば!!」



冷静になってたのに、急に恥ずかしくなってジュダルに怒鳴ってしまう。



「そろそろ観念して認めろって。俺のこと、なんだかんだ言って好きなんだろ?」



(あーあ……)


なんだか強がるのも疲れちゃったな………。

認めたら、きっと楽になるんだろうなぁ。



もう、いいよね………





「好きで悪かったね」



やっと言えた。
だけど、彼の目を見ることはできない。


チラッと横目でジュダルを見てみると、正に「目が点になる」という表現がしっくりくるような顔をしていた。


「もう一回…言ってくれないか?」



「聞こえなかったのかい?
君のことが好きだって言ってるんだよ」



気付けば、日付は15日に変わっていた。



「これ、バレンタインデー限定とかじゃ……」


「ないよ。もう日付変わってるみたいだし」



自分の発言にハッとする。

ということはつまり……



「ただの告白……ってことか?」



体温がみるみるうちに上がり、顔が熱くなるのを感じる。
分かってても、声に出されると一層恥ずかしい。



「もっ…もういいよ!
そういうことにしといていいからっ!!」



「そっか……ありがとな」



一瞬見せた彼の笑顔は、いつもの意地悪そうな笑みではなく、とても優しげな笑顔だった。


こういう一面があるから


(嫌いになれないんだよね……)



「じゃ、俺はもう帰るわ。次はいつ来れるか分かんねえけど……あんま無理すんじゃねえぞ」


「うん…。あのっ……!」


「おっ、どうした?」


「い…いや、ジュダルこそ気をつけて」


「おう。じゃあな」


そう言うとジュダルは僕の頭をクシャクシャと撫で、絨毯に乗って闇夜に消えてしまった。

ジュダルが去った後、僕は自分の心の変化に気付く。


(あれ?もしかして……)


ジュダルが帰って、暫く会えなくなるという現実に胸が締め付けられる。
ジュダルがいなくなって、寂しいと思っている自分がいる……。



(これが噂の……)



さっき別れたばかりなのに、もう彼を求めている。

ジュダルの声が、体温が、何もかもが恋しい。


















(恋ってやつかもしれない…)






今日は、不器用な二人が大きく前進した記念日です。






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