苦悩、発覚、距離B







「う…おぉう。おはよ…う?」



「ん、おはよ。

ちょっと休むつもりが寝過ごしちゃったみたいだねぇ」


そう言って笑いながら
「ごめんね?」と謝る。



可愛すぎだろ…!!


だが、アラジンのそんな姿に俺は違和感を覚えた。
何となく、いつもと違う感じがする。


「お前……今日変じゃね?」

「そっ……そうかなぁ?
別にいつもと変わらないけど?」



明らかに動揺している。
何かあったのか……?


「なぁ、何かあったのか?
それとも、俺に何か言いたいことでもある?」


「あ……えっと、その…」


「言いたいことがあるなら言えよ。秘密にされても気になるだけだから」


「うん、あのね……君にお願いしたいことがあるんだ」



「ん?何だよ、改まって」

















「暫く、ここに来ないで欲しいんだ」














…………………………
…………………
……………


「……は?」



突然の言葉に、俺は驚く
ことしか出来なかった。



「どうして………」


「ごめんなさい!
実は―――――――」




『ドンドンドン!!』




アラジンが何か言いかけた時、部屋のドアが叩かれた。



「おーい。今ちょっといいか?ってか、起きてる?」


「う…うん、起きてるよ!」


「実はさぁ、お前にちょっと話しておきたいことがあって……。
ここじゃ何だし、部屋の中に入れてくんね?」


「分かったから、もう少し待っててくれるかい?」


「おー。待ってる」




声の主は、恐らくいつも
アラジンと一緒にいる
アリババとかいう奴だろう。奴の顔を思い出したら無性に腹が立ってきた。


そして、アラジンが気まずそうに俺を見る。
今にも泣いてしまいそう
な顔だ。


「ごめんなさい、ごめんなさい……!でも今日はもう、その……帰っ…てほ…し…い………」



「わかった」



自分でも驚くぐらい落ち着いた声だった。
案の定、アラジンもびっくりした顔でこちらを見ている。
何でだろ……。
いきなり突き放されて悲しいはずなのに。悔しいのに、腹立たしいのに……。



「じゃあな……」



部屋を出て行こうとした時アラジンが何か言いかけた気がするが、俺は構わずに夜の闇に飛び出した。


シンドリアから少し離れた頃、あんなに冷静だった俺の心は不安で埋め尽くされていた。


二度とアラジンには会えないかもしれない。


そう思うと、平常心を保っていられなかった。



「………っ」


あ、今俺泣いてるわ……。

あんなガキ一人のことで泣けるなんて、俺も普通の
人間と同じってことか…
いや、もしかすると


(それ以下……か)



自分の考えに苦笑しながら、俺は煌帝国への帰路を急いだ。



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