好きか嫌いかそれとも







「お前は………さ」


何も考えず、俺はお前に話しかけた。不思議そうな顔をするお前を見て、俺は苦笑しながら言葉を続ける。


「俺のこと、好きか?」


自分でも突然だったと思う。

別に、甘い答えを期待しているわけじゃない。

ただ、本音が知りたいだけだ。


本当のことを聞くのは、
正直怖い。
でも、知らないのはもっと怖いことだ。

だから―――――――


「君のことは、嫌いじゃないよ」


違う。

そんな曖昧な答えが欲しいんじゃない。


「好きか、嫌いかで答えろよ」


異様なほど落ち着いて答えたお前に苛立ちを感じ、再び問いかける。

するとお前は俺から目を逸らし、さらに答えた。


「そのニ択なら、僕は答えられないな」


そう言った声は本当に静かで、俺を確認した目は驚くほど冷たいものだった。


(違う……)


何もかも、全部違う


(俺の望んだ答えは)


そんなのじゃなくて


(怖い……)


本当の気持ちが分からない


(なんで)


どうして答えない


(答えろ)


好かれていないことぐらい分かっている。
俺といる時の楽しそうな
お前の表情が表面上なものでしかないことだって、
ちゃんと知ってる。


だから、早く。

早くそれを言葉にして
いっそのこと俺を突き放せよ。
早く俺を楽にしてほしい。


早く―――――――




「………っ!?」


気付けば俺は、アラジンの肩を掴んでベッドに押し倒していた。
一瞬驚いた顔をしたアラジンだったが、すぐにさっきと同じ冷たい表情に戻る。


「君は、何をそんなに焦ってるんだい?」


焦ってる?俺が?


「焦ってなんかねえ」


しかし、俺の言葉にアラジンは「ううん」と頭を振る。


「焦ってるよ。こんなの、いつもの君らしくない」


「お前が質問に答えないからだろ」


そう言ってやると、アラジンの表情が冷たいものから悲しみを帯びたものへと変わっていった。


「僕の本当の気持ちは、きっと君が望むような答えではないから……」


あぁ……。コイツは、俺がいい返事を欲しがっていると思っているんだろう。

そう考えれば、アラジンの言いたいことは自ずと分かってくる。

それでも…………


「どんなことでもいい。
お前の口から、聞かせて欲しいんだ」


するとアラジンは僅かに
微笑み、俺の耳元に顔を近付けた。

そして、小さな声で
「あのね、」と呟く。


「君のことは、好きでも嫌いでもないんだ」


最後の言葉は凄く小さな声だったが、俺の耳にはしっかり届いた。

























「大好き」



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