校門をくぐる。昇降口に備え付けられた時計が差すのは7時50分。いつも通りだ。ついでにちょっとだけ髪を手櫛で梳いて、鞄を抱え直し階段を上る。2階に差し掛かったところで、向こうから降りてくる人影。心臓が大きくどきん、とひとつ。通り過ぎるちょっと前、彼が正面に立ったところで渇ききった口を開いた。


「…お、はようございます」
「ああ、おはよう」


ただそれだけ何気なく言ってふたりはすれ違う。3階へ向かう階段に踏み込みながら、ふうと息を吐いた。…変な声じゃなかっただろうか。ちょっと裏返ってた気がする。ああ、くやしいなあ。朝から普通に声を出す方法ってないんだろうか。もっと早く起きて、あらかじめ発声練習でもしておく?さすがにそれはなあ……今だって、起きるのしんどいし。
2年生になってから、こんな後悔や反省を毎朝繰り返している。馬鹿だよなあなんて思いつつ、今朝もまたわたしは彼に目を奪われるのだ。




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