カインさんにプレゼントをするとしたら何がいいと思いますか? 眉をめいっぱい下げて顔を上げた少女から出てきたのはそんな言葉で、セシルはすこし間を開けてから聞き返した。


「カインにプレゼントをするのかい?」
「!!!」


ボンッと音をたてて少女の顔が真っ赤に染まる。わかりやすいなあ。そういった感情に疎いと言われる自分でもこのくらいはわかる。この子はカインのことを憎からず想っているのだろう。堅苦しい幼なじみの顔を思い出して、セシルは微笑ましい気持ちになった。目の前の少女はアワアワと両手を宙にさ迷わせながら慌てふためいている。


「ああああの、そんな、滅相もない!です!カインさんのような方がわたしなんかのプレゼントを受け取られるはずありませんから!」


自分で言っておいて少女はしょんぼりと俯いた。確かにカインは由緒正しき竜騎士団のリーダーであるが、人の好意を無下にするような人間ではない。そんなことないと思うけどなあ そうこぼせば少女は勢いよく顔を上げた。


「ほ、ほんとうですか!?」
「うん。ところで君は、どうしてカインにプレゼントをあげたいんだい?」
「…え?ご存知ないんですか?」


何かめでたいことでもあっただろうかと首を傾げるセシルに、少女は頬を染めて叫んだ。


「もうすぐカインさんのお誕生日だからですよ!」
「………あ」


誕生日。そういえばこの季節、この時期だったような気がする。いつも自分に知らせてくれるローザが出張に出ているためすっかり忘れていた。
普段よりそんなものを気にする仲ではないし、誕生日のわからない自分に気をつかってカインも言い出さないものだから生まれた日を祝うという行為自体頭になかったといっていい。この子が教えてくれなかったら、おそらく何も気づかず過ごしていたことだろう。
セシルは仏頂面の親友の姿を思い描き、目の前に佇む少女を見つめた。不安に決意に揺れる瞳、リンゴのように熟れた頬や握りしめられた小さな拳。かわいらしく、思わず守ってあげたくなる少女だ。カインならこういった子は放っておけないだろう。頭でも撫でたくなるかもしれない。さまざまなイメージが浮かび上がり、セシルの口元が弧を描く。
恋愛ごとには疎いと言われる自分でもこのくらいはわかる。たまには親友の出会いに一役買ってやるのも、新しい誕生日の祝い方かもしれない。




「ああローザ?僕だ。もうすぐカインの誕生日だろう。…うん、ちゃんと気づいてたよ。せっかくだし内輪でパーティーをしようと思うんだけど、どうかな?……そうそう、それで1人呼びたい子がいてね…」

100914
カインの誕生日って公式だといつなんでしょうか
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