ミンウはきれいだ。男のひとだけれど 女のわたしなんかよりよっぽど美人さん。白い衣につつまれた褐色の肌や 碧いひとみ。すべてが彼の存在をきわだたせている。
うつくしいだけではなく、ミンウは色気も半端じゃない。まるで誘ってるかのように大きく開かれたローブからのぞく脇腹は、なんというか 煽情的だ。男のひとなのに、女のわたしが息を飲まずにはいられない。こういうとまるでわたしが変態みたいに聞こえるけれどそれは違う。ミンウは誰から見ても魅力的なのだ。


「…そんなにジロジロ見ても、私は美味しくないぞ」


とつぜん視界が暗くなる。ひやりとするのはわたしの目を覆ったミンウのてのひら。しばらく呆けているとミンウの困ったような笑いが漏れて、そっと退かされた。ふたたびわたしの網膜にミンウが映る。やはり きれいだ


「どうかしたのかい、ぼんやりして」
「…えーっと、ミンウにみとれてました」


正直に答えれば、わたしの顔を覗き込むミンウが一瞬青い目を大きくした。あ めずらしい。ミンウが驚いたところを初めて見た。すぐに元の優しい表情に戻ってしまったけれど、わたしはだいぶ得した気分になる。


「…君は面白いことを言うな」
「そうかなぁ」
「男の私にみとれるなんてね」
「だってミンウ、男のひとなのにすごくきれいだから」


本気で言ったのに、ミンウは可笑しそうにわらうだけだった。冗談じゃないんだけどなあ。自分では気づいてないんだろうか、自分がどれほど魅力的かってことに。それにしては、ミンウはときどきわざとらしく色気を振り撒く節がある。そうしてわたしをドキドキさせては愉快そうに笑うのだ。そういうときのミンウは本当に意地が悪い。
恨めしげに見上げると、ミンウはとぼけた顔でわたしを見下ろしてくる。美人は何をやっても絵になる。


「わたしもミンウみたいにきれいだったらな…」
「なまえだって十分可愛らしいさ」
「そうじゃなくて、もっとこう…美しくなりたい?」
「私に聞かれても困る」


わたしとミンウ。どこが違うんだろう。いや、全部ちがうんだけど、どうしたらミンウに近づけるんだろうか。褐色の肌 青い目。ああ、きっとミンウのお肌はすべすべなんだろうな。そう思ったら露出した脇腹に無意識に手が伸びた。触れる手前で一回り大きな手に捕まえられる。


「こらこらなまえ」
「ぶー」
「まったく君は……」
「ちょっとだけだよ、だめ?」
「駄目」


えー。ブーイングするわたしに、ミンウは眉を下げた。それから目を細めてじっとわたしを見下ろす。まけじと見つめ返していると、不意にミンウが腰をかがめて顔を近づけてきた。驚いて一歩下がる。ミンウが一歩近づく。布で隠された口元が、なんとなく持ち上がっているのがわかった。うわあ、いやな予感。
鼻先まで接近したミンウが、どこか楽しそうな声音で囁いた。


「触れても構わないよ。わたしにも触らせてくれるならね」


100613
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