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「来週に迫った。チーズ加工工場への見学グループを自由に決めて先生に伝えて下さい。人数は…」

『…』

体育館に2年生一同が集められクラスなど関係なしに、自由に班を決めるスタイルで社会科見学が行われる。生徒会副会長の女子が壇上に上がって、生徒達に指示を出していた。渡された資料を眺めて居てある所の一文を見て驚く、場所は神奈川県郊外にある工場地帯で、同じ日に参加するのが氷帝と晴学と書いてあるのだ。前、英奈と会話した時、彼女はこう言っていた“今月下旬頃にある他県の学校も巻き込んだ弁論大会の事だろうね”と晴学を知っている自分が早く気付くべきだった。日本の学校と何かと弁論大会をしてもツマラナイと昔、権力者の1人が行った事で海外以外ではしない事になったのを今更思い出した。逆に日本の企業は素晴らしい!と言って居て社会科見学は進んで行う事を…そう考えれば書類の中身を知らない私が、英奈の口からそう聞かされれば納得してそれ以上詮索しないだろうからだ

『(そう言えば、英奈…お前。生徒会副会長だったな…)』

騙されたと頭を抱えて居れば、私の周りにはいつものメンバー+望が居た。体育館の端で冊子を受け取り各班事に、見学施設の回り方を決めて行く為である。工場は広く最初に施設の担当者から話を聞けば、帰りの時間までは何を行っても良いとなって居て皆楽しそうに予定を決めていた。決め終わった班は教室へと促さられる。終わったので斬奈達は教室へ戻る準備を始めたが、斬奈は深いため息を吐いた

「どうした斬奈。深いため息なんか吐いて…」

『ジャッカル…資料を見てお前は何も分からないのかい?』

「あー…、晴学も同じ日に見学するって事での溜息か…」

『そうだよー、誰が来るのかで私の運命が決まってしまう…』

「てか、誰が来た所で何か変化するのか?」

『…何も変わらない』

そう言って斬奈は項垂れていた。苦笑するしかないジャッカルは、ポンっと肩を叩く事しか出来ない

「へぇ、2人共晴学に友人が居るんだ。凄いね」

「“友人”って言うのとはちょっと違うかな〜?」

「そうだね。“お慕いしている方”ってのが正しいかなぁ?」

「うん」

「野山さん達は槇火紫さんの知り合いって誰か知ってる?」

「あの学校島1つが全て学園って感じだから斬奈ちゃんの知り合いが誰かまでは分からないかな」

「そうなんだ…」

「ごめんね、幸村くん」

「ううん、俺もごめんね」


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