彼女が来た理由


栗「ねぇ、斬奈。」

『何?栗太郎。』

栗「何で斬奈、こんな変な時期にこっちに来たの?」

『あー…それは、ね。』

D「それは?」


Act05≫The reason she came

『“島流し”に遭ったのよ。“島流し”に』

京「“島流し”?こんな平成の時代にか?」

臨「こんな平成の時代だからこそ、なんじゃない?槇火紫家は江戸時代前から存在するお家だし。」

静「“島流し”?」

新「あれ?静雄。もしかして“島流し”の意味分からない??」

静「ば、馬鹿言っていんじゃねーよ…。それぐらい俺だって知っているさ…。」

臨「本当に〜?その反応すっごく怪しいよ?シズちゃん。」

静「何だと!?!?」

京「脱線しているぞ。」

栗「静雄。抑えて、抑えて。」

新「“島流し”って言うのはね。昔の刑罰の一つで、罪人を辺地や離島に送る追放刑なんだよ。でも、もう行ってない筈なんだけど。臨也の言う通りでお家絡み?」

『今回の事は違うのよ。家は基本的に放任主義。本家に居なければ私達、子供がやらかした事に対して親は責任を取らないってのが一族の方針だし。今回はね…本当にただのとばっちり。』

栗「とばっちりって言ったって。お前だって共犯者と見られても可笑しくない立場だろ?結局は。」

『まぁ、そう捉えられても仕方がないけど。あの時“綱吉”の手を取ってなかったら今、綱吉は生きてなかったと私は思うわよ?』

栗「げっ!?そ、そんなに“綱吉”ってば思いつめていたの?!」

『本心は聞いてないから分からないけど。私から見ての綱吉はそんな感じに見えたから、私は差し出されたその手を取って受け入れたのよ。』

新「なんか、俺達の分からない所で物語が進んでない??」

『あぁ、ごめんね。』

臨「それで?また、新たに名前が出てきたけど“綱吉”って誰?」

『私の婚約者であり、彼氏さん。彼は今、私と同じ様に“島流し”に遭って。イタリアの孤島に再教育し直しって名目で缶詰。』

京「とばっちりと言うのは、その“綱吉”と言う奴がした事によってか?」

栗「うん、そう。」

新「栗太郎は何か事情知っているんだ。」

栗「まぁね…。桃太郎伝いに聞いて知っている。」

C「?」

『事の始まりは、栗太郎以外の全員が“見晴し学園高等部入学”って所から始まるのよ。』

栗「違うぜ。綱吉の中のどす黒い塊が芽生え始めたのはもっと前からだって俺聞いているぞ?」

『うん。それは私も知っていた。でも、その存在に気付いたのが“入学式”の時だよ。あの頃から綱吉。喋る時に“棘”が見え隠れしていたもの。』

臨「ふーん。“どす黒い物”って“嫉妬”?」

『そう。私は元々、見晴し学園が地元で行きなれた学校でしょ?幼等部の頃から知っている友達とかも居るわけで…、綱吉をちょっと、蔑ろにしてしまったのよ。』

新「久しぶりだからとかの理由?」

『そ。いつも一緒に居るからコレぐらいいいよね?って思っていたらどんどん嫉妬が強くなって行ってね。気付いた時にはもう既に、爆発しそうだったのよ。綱吉は優しい子。他人の事を思って、行動の出来る子。だから余計に余計な物を心に溜め込んでしまうの。私も甘えていた節があったのも本当。“綱吉なら分かってくれる”“綱吉なら大丈夫”ってね。そう思っていた矢先にね…。綱吉から“俺以外その瞳に映さないで”って言われたの。それが終わった後にこの“島流しの刑”が綱吉の家庭教師さんから下されたって訳よ。』

静「結局、その“綱吉”ってヤツは何したんだ?」

臨「“監禁”とか?」

栗「ホント、臨也って鋭いね。」

京「マジかよ…。」

『マジだよ〜。但し、2ヶ月ほどだけどね。』

新「けど良く、周りの人達気付かなかったよね。」

『そりゃね。1ヶ月ぐらいなら、私が放浪しているとか昔からある事だからね。気にしなかったんだよ。皆。2ヶ月目からは私の影武者さんが綱吉の命令で週2回学校に行っていたし。』

静「放浪って、お前…。」

『だから“放任主義”だって言ったでしょ?周りの皆の家もそんなんだから、1,2ヶ月居なくても大丈夫な考えなんだって。』

臨「なら、何でバレたの?」

栗「綱吉が斬奈が居なくても平然としているから。だったよね?」

『そう。斬奈主義の綱吉が、私が居ないのに平然と学校に来ている事が他の仲間内で可笑しいって事になって、後を着けられて見つかったって訳。』

新「大好きな彼女と一緒に居られるって事で気が緩んだって事?」

『そうだろうね。まぁ、そう言った経路で私は“島流し”に遭い。この池袋にやって来たって訳。これでいい?栗太郎。』

栗「うん。分かったよ。ありがとう斬奈。」

臨「……。」



(1人で何しに来たの?)

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