“よろしく”と微笑む彼女
『制服を見ただけでお分かりでしょうが、自己紹介をさせて頂きます。見晴し学園高等部特別クラスから来ました。槇火紫斬奈です。これから卒業式まで一緒によろしくお願い致します。』
Act04≫"Regards, " she smiled
パチパチパチ
金髪紅瞳の美少女が来たと驚く生徒達だったが、昨日の“転校生無双”と言う話が今日の朝のHRの内に学校全体に広がった為、拍手も生徒の態度もぎこちなかった。生徒皆の思っている事が手に取る様に分かる栗太郎と京平は苦笑しながら斬奈の自己紹介を聞いていた。終わった途端先生が栗太郎の方を見ていた為、栗太郎は手を上げて斬奈を呼べば露骨に嫌な顔をして、栗太郎が示す方向へと歩いて行き、座った。
『…最悪。』
「え、何で??」
『リボーンに“平和に過ごしたいから栗太郎とは別のクラスに!”って伝えていたのに…。』
「伝えてなくてももう既に、こっちに来た日に騒動起こした人物が何を言う。」
『そうですねー。ちょっと腕試しがこんなにも早く、学校全体に広がるとは思わなくてね…。』
「まぁ、うちのクラスには“戦争コンビ”が居るもんで、結構敏感なんだよ。そう言う事にはね。」
『“戦争コンビ”?何それ。』
「槇火紫の両隣の事だよ。」
『斬奈でいいよー。槇火紫って苗字言う人は基本プー太郎になりたい奴等って言う認識だし。』
「そう?なら、僕の名は岸谷新羅。僕も新羅でいいよ。」
『きしたに…岸谷ねぇ、お父さん。森厳って言う?』
「そうだよ。え、父さん知っているの??」
『昔、父に着いて言った夜会であった。うん。それだけ。』
「…深く聞かない方がいい?」
『その内話せる様になったら、話すって事でこの場ではOK?』
「うん、いいよ。何となく俺、分かったから。」
「俺、折原臨也。よろしく。斬奈。」
『…何て言うか、信用したらダメって感じだね。ってか、変な名前。』
「うわぁ、ホント。色々直球すぎじゃない?」
『え?でも、本当の事でしょ?かなり歪んだ感情の持ち主と私、昨日の時点で思ったんだけど。』
「へぇ…実に興味深いね。斬奈って。それに扱い難そうだね。」
『私はどちらかと言うと、“黒幕”だからだよ。同属嫌悪になるんじゃない?臨也くん?』
「ふーん。」
『あ、因みに私。読心術と読口術を覚えているから気をつけてね?』
「益々、興味が沸いたよ。」
『あまり、興味を沸かれても困るんだけどねぇ…。』
「…。」
『?何??』
「平和島静雄。静雄で良い。」
『平和島静雄ね…。巷で噂のなのが君か。臨也のお陰で有名人って訳かな?』
「なりたくてなった訳じゃねーよ。」
『でしょうね。静雄はホント、私と違うわね。ゆっくり付き合っていけば絶対に君の力になるよ。』
「?」
『気にしないで。ちょっと大きめの独り言だから。』
「そうか。」
「門田京平。」
『京平…京ちゃんか。』
「ひぃぃ!!止めて、斬奈!雲雀先輩しか俺思い出さないから、その呼び名!!!」
『あぁ、でも漢字が違うからいいじゃない。』
「ダメ!呼び名なんて他にもたくさんあるだろ!!“おかん”とか!!」
「なお悪いわ!!」
『“おかん”?京平ってこのグループの中でそんな立ち居地なの??』
「違う!!」
「でも、京平って皆にそう思われているよ。面倒見がいいし。細かい所まで目が行き届くし。」
「頼むから止めてくれ…。」
『私はどうしたらいいの?』
「流してくれればいい。」
『分かった。この中で一番“普通な人”の京平の言葉を信じさせてもらうよ。』
「え!?俺じゃないの?!」
『ってか、栗太郎。あんた。そんな性格だったけ?中学の頃はもっと無表情でしょ?あんた。』
「そりゃあ、近くに反面教師がいましたから。」
『あぁ、桃太郎ね。ってか片割れでしょ?まぁ、アイツは熱すぎるからね…。』
「そう言う事だよ。あれから解放されてこうなりました。」
『納得だわ。』
「おーい。栗太郎。」
「はい、先生。何ですか?」
「授業やってもいいかな?」
「あぁ、いいですよ。ってかこっち気にしないでいいので。」
「そうかー。そう言って貰うとありがたいよ。じゃあ、教科書30ページから…。」
『あれ?授業中だったの今。』
「そうだよ。」
「ここだけ、いっつも異空間だけどね。」
『いつもなの??ってか勉強とか大丈夫なの??』
「大丈夫だよ。全員学年10位以内には入っているし。」
『それは先生方何も言えないわね…。』
「そうなんだよね〜。」
「まぁ、とりあえず。今日からよろしく斬奈。」
『うん、よろしくね。』
(笑顔は至って普通)
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