天下無双な転校生


ドゴ

「ぐへぇ。」

バキ

「げはぁ。」

全て一撃でチンピラ達を倒す斬奈の横には倒されたチンピラ達が折り重なって山になっている状態が目に映る。斬奈本人はほとんどその場から動かず、ジッとチンピラを睨みつけている状態だった。首を左右に動かした斬奈は背伸びをして呟いた。

『まだ殺る?』

Act03≫Transfer Student peerless

「おぉ…!!」

「おいおい、何だコレ…。」

「凄いねこの人だかり。」

表通りに集まった人、人、人の数。武器を持っているのが斬奈に手を出してしまったチンピラの仲間の様で、その外。何も持っていないのはこの騒ぎを聞きつけてやって来た野次馬達は遠巻きにチンピラを囲う様に転々と見ている。通行人も立ち止まる始末の大騒ぎと化していた。警察が来るのも時間の問題だろうと、京平が言っていたが、どうせ捕まるのはチンピラ達だけなのを栗太郎は知っていた。グルッと円を書く様にチンピラが斬奈を囲っている為、助け様にも助けられなかったのでどうしようかと思っていれば、携帯が鳴った。

「もしもし?」

『もしもし、栗太郎。助け要らなくなったわ。大通りに出れたし。』

「って、言うか。良くチンピラを相手にしながら電話出来るね。」

『あれ?近くに居るの??』

「居るよ。倒されたチンピラの山が右側に見えるから…。」

『なら、真正面って事だね。よし、まずは道を開け様かな!』

「え、何するの??」

『“並盛に居た頃”って言えば分かる??』

「えー、ここではしない方が…。」

などと電話越しに斬奈に言った所、目の前の光景が変わった。目の前に居たチンピラ達が騒ぎ出し、そして斬奈が居るであろう周辺からバキバキと何かが壊れる音がしたと同時に右から左にチンピラが飛んで行く。やってしまったか…と思って入れば、チンピラを飛ばした張本人が飛ばした物と一緒に栗太郎の目の前まで歩いて来た。

『久しぶり!栗太郎!!元気してた?』

「元気だけど、今しがた疲れが溜まったよ…。」

『それ、私のせいって事??』

「当たり前だよ。」

『いやーすまんね…。』

月の様に鮮やかで透き通る様な金の髪に、宝石のルビーがはめ込まれた様に澄んだ紅い瞳を持つ女性こそ、槇火紫斬奈。張本人だった。唖然とする中、斬奈はケラケラと笑って、栗太郎との再会を喜んでいた。とりあえず栗太郎は地面から抜いたと思われるポール(チェーン付き)を置く様に斬奈に指示する事にした。

「斬奈。まず、ポール置こうか。」

『分かったけど、栗太郎。護身用に武器持ってない??私全部今日から住む家に宅急便で送って今手元にないんだ〜。あったら貸してくれる?』

「いいけど、多分その必要はなくなったよ。」

『何で??』

「後ろ。」

『?』

斬奈はポールを指示通り置くと、栗太郎の鞄を奪い武器になる様な物を探し始めた。斬奈越しに後ろの光景を見ながら栗太郎は斬奈の肩に手を置いて諭す様にその光景を見せた。眼下に広がる風景は散り散りになって消えて行く人達の後ろ姿であった。チンピラ達もこれ以上行った所で勝ち目はないと理解した様であんなに大勢いたのが負傷者も含めてその場から姿を消していた。

『逃げるなら初めから逃げて欲しいわ。私からしたら。』

「まぁ、そう言うなって。」

『弱い者には興味ないっての。』

「あぁ、そうだ。俺の友達紹介するよ。」

『うーん…結局、学校に行けば会えるんでしょ?後ろの彼等。』

「まぁな、俺と同じクラスだし。」

『だったら今日はパス。明日学校で紹介して。今から荷物解かないといけないから。』

「え、え?ってか家分かるの?」

『迎えが来た。』

鼻で笑った斬奈は髪の毛を耳に掛けると栗太郎を見た。栗太郎は笑いながら後ろに居る自分の友達を紹介し様とするが、軽く溜め息をついた斬奈は生憎疲れている様子で指差した方向には一台の黒塗りの高級車が斬奈の前で立ち止まり斬奈はその車に乗り込んだ。窓を開けると斬奈はお礼と詫びを入れて車はその場から発進した。残されたのは5人の来神生徒のみだった。

「何か、無双だよね。斬奈って子。」

「あんな細腕で良く静雄の真似が出来るよね。僕驚いちゃった!」

「新羅…。驚いたにしては目が輝いているぞ。」

「え?そうかな??」

「「「そうそう。」」」

「シズちゃん2号か…。」

「あ゛ぁ゛?何だと、ノミ蟲…。」

「いいや、何でもないけど?」

「手前…!!!」

「臨也、静雄と斬奈の決定的な違いを教えてやるよ。」

「うん?」

「静雄は“喧嘩が嫌い”斬奈は“喧嘩が大好き”って所かな。2人が全く違う点は。」

「ふーん。(まぁ、それでも怪物には違いないかな。)」


(化け物と言われても仕方がない)


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