目印は落ちる死体達


ニヤニヤと汚い表情を出す、池袋のチンピラ達。電話の途中だったが、イライラし過ぎて斬奈は電話を切ってチンピラから一歩距離を置いた。

『…(5人か…、まぁ、こっちのチンピラが何処まで骨のあるのか試してみるってのもいいかな?)』

そんな事を考えながら斬奈は口角を上げ、ニヤリと笑った。

Act02≫We mark the body falls

高校から一歩外に出ると栗太郎はカチカチと携帯を扱い始めた。何をしているのかと門田京平が聞けば彼はサラッとこう答えた。

「あの転校生、昔から良く迷子になるもんだから、友達の家庭教師が、転校生の携帯にGPSを着けてね。転校生の近くに居る人が確認する事が出来るんだよ。」

「…何だそれ。」

「だって、地図見ても目的地の反対方向に進む女の子だよ。そんなんだったら、周りがしっかりしてないといけないじゃん。」

「極度の方向音痴なの?その子。」

「いいや、1回覚えれば大丈夫な子。」

「それより、名前とか特徴とか聞いても良い?僕、興味が沸いたから探すの手伝いたいし。」

「おいおい、新羅。興味が沸かなかったら手伝わずに帰る気かよ。」

「まぁね。」

「まぁ、名前は“槇火紫 斬奈”」

「“槇火紫 斬奈”だって??本当に“槇火紫財閥”の人間な訳。」

「本物だよ、斬奈は次の37代目だし。」

“槇火紫”と言う名を聞いた瞬間に、全員。一瞬の内に“槇火紫財閥”が頭を過ぎった。栗太郎が嘘を言う人物ではないのはその場に居た4人は分かっている為、本物だと言う事は瞬時に理解した。栗太郎が早く探さないといけないと言う訳も何となく理解した4人はカチカチと携帯を扱っていた栗太郎は使うのを止めれば歩き出した。どうやら、転校生の居場所が分かった様だった。携帯の画面を見ながら歩いているという事は、転校生である槇火紫斬奈はどうも、移動していると言う事が分かった。

♂♀

『たっく、弱いわよ。』

「な、なんだこいつ!!!!」

「つ、強ぇえぇぇーー!!!!!」

「化け物か!?」

『何言ってんのよ、あんた等が弱いのよ。東京のチンピラは全く骨がないわね。』

「何だと!?…っ!!!」

『言ったでしょ“弱い”って、それがどう言う意味かまだ分からないだなんて。』

「ぐへぇ…!?!」

拳のラッシュを腹に叩き込んだ斬奈はよろけた相手のこめかみに踵落しを喰らわせて気絶させた。ドサと倒れたチンピラは全くそれ以降動かなくなった。ゾロゾロと前から最初に倒した5人の仲間が現れて、斬奈は相手を煽りながらも、自分は冷静に考えていた。自分が居る場所は狭い袋小路。このまま戦えば数に物を言わせた奴等の方が有利になる訳で、そう思っていれば。ビュっと風が上から降りて来た。

『…(そうか、“上”なら動ける。)』

「おいおい、お嬢ちゃんよぅ。無視してんじゃねぇ!?!」

ブン!!

「な、何!?」

チンピラの拳は空回りして空気を裂く。驚きチンピラ達は顔を上げ目線の先には、壁を駆け上がる斬奈の姿が映っていた。チンピラの1人が嘘だろ…とぼそりと呟いた声を聞き、リーダー格の男がボケッとしている仲間に喝を入れて、斬奈を追っ掛けさせた。

♂♀

池袋の繁華街に差し掛かった所で、路地裏を覗けば、転々と白目向いた男達がゴロゴロと転がって居るのが目についた。全て一撃KOの様で、ほとんど手傷を負っていない状態だった。それを見た栗太郎は寛大な溜め息を吐いた。

「遅かったか…。」

「うん?何が??」

「斬奈の携帯電話が切れる時、斬奈舌打ちしたんだよ。その時早くしないと!!って来たんだが…もう遅かったか…。」

「これの事?」

「そうだよ。とりあえず、この死体達を辿って行けば斬奈に会えるよ。」

「まぁ、まだ死んでいないと思うけどな。」


(シャットアウトって事)

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