気がついていましたか?あなたが俺を見ていることよりもずっと俺はあなたのことを想い、気持ちを巡らせていることに。

確かに第一印象は怖い人でしかなかったけれど、逢瀬を重ねるごとに俺の中でのあなたの存在というものが膨らみ続けて今にも破裂しそうなぐらいなんです。……あなたはまた軽口と思って笑うでしょうか。でも、今の俺はあなたが俺に拘る以上にあなたに固執しているんです。

きっかけは確かにあなたからの視線や執念めいた感情だったと思います。逆に言えば、あなたが俺に感情をたぎらせたことが今の俺の抱いている感情に繋がっているわけです。

あなたがヴィクトリーの誰かの話をする時もあなたが気まぐれに俺を放り出してしまった時も俺は内心では嫉妬していました。このひとに俺だけを見続けてもらいたいって。

五輪代表に選出された時も浮かんだのはあなたの顔です。青のユニフォームに袖を通せば、あなたは俺からますます目が離せなくなると。逃れられなくなると。傲りかもしれませんが、緊張と興奮の中でそう思いました。

あなたはどこか不安定で例え身体の繋がりがあろうとも、ある日突然、ふっといなくなってしまうような気がしてなりません。だから、あなたの一番情熱を注いでいるフットボールで俺から目を逸らすことをできなくしたかった。

もっと俺だけを。
ずっと俺だけを。

あなたが気がついた時には意識に俺のことだけが占められているぐらいに。ごく自然にあなたを束縛したい。身体よりも意識下であなたを縛りつけていたい。離さないでほしい。俺も決して離しませんから。

――このことは多分誰にも口外しないと思います。二人だけの秘密、共有事項にしておきたいんです。あなたの同意もなしじゃ、一方通行の感情かもしれないけれど。

あなたを、持田さんを、俺だけのものにしたいから。


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