馴れた手つきだと思った。指先は背中から腰までするりと辿って、甘い声を漏らしそうになるとすぐさま唇が覆いかぶさる。他の誰かも持田さんの腕に抱かれ、浮されてきたんだろうか。下司な考えだと判ってるけど、今までに持田さんが抱いた誰かのことを思うと、歯痒さでいっぱいになる。

「椿君、集中して」

意識がばらばらになっていたのを感づかれたか、持田さんに嗜められた。持田さんの指も舌もみるみるうちに俺の身体を解きほぐす。男がどうとか以前に、自分以外の誰かにこんな風に触れられたりするのなんて、生まれてはじめてのことで、おれはただ「あっ」とか「うっ」とか切なげに呻いて、股間を膨らませることしかできやしなかった。

「力抜かないとつらいよ」

そして、持田さんは唾液を絡めた長く節くれだった指で俺の窄まりをずっずっとこじ開けていく。

「も、持田さん、……あっ、こんなのっ、やらっ」

窄まりと前の膨らみを弄ばれ、声をあげるのが精一杯だったが、唐突に持田さんが俺の身体を放り出した。

「!?」

疑問符で頭を埋め尽くしていると、猛禽のように鋭い視線が俺を捉えた。

「童貞だか知らないけどよ、して貰おうってマグロみたいに転がってるなよ。もっと俺のこと欲しがれよ。俺とのセックスじゃなきゃダメだって言ってくれよ」

それから、指より太いそれが通り抜けたこともないおれの入口に抜き挿しされた。苦しくて感じすぎて、喉が枯れるまで目の前の想い人の名前を読び、背中に爪を突き当てた。

「あ、……やだ、持田さ、俺」
「逃げるなよ、俺とのセックスから」

腹の奥でどくりと持田さんのそれが脈を打った。俺は半勃ちの下腹部からだらだらと白濁を零していた。

「本気で食らい尽くすぐらいじゃなきゃダメだ。サッカーもセックスも」

遠く弾けかけた意識の果てで持田さんがキスを寄越したような気がした。なんだ、持田さんって案外優しいんじゃないですか。また俺が起きたら、続きしましょうね?



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