今朝、子猫が車に轢かれて死んでいるのを見つけた持田は、その愛くるしい姿を振りまいていたであろう残骸を腕に抱き、どこか弔ってやれる場所を探しに行くことにした。

正義感からではない。この子猫の骸にどことなくシンパシーを感じたのだ。ピッチの上で走れなくなった自分はこの子猫と同じ運命を辿るのだ。そんなことを思うとこの物体を放っておけなくなったのだ。

持田は歩いた。膝の痛みを引き摺りながら。人間にゴミのように殺されたのだ。ならば、人目につかない場所でひっそりと眠らせてやりたいと思った。

ピッチの上で輝きを失った日の持田を周囲の人間はどういう目で見るのだろうか。僅かばかりの好奇心(マスコミと同義的な)と多数の無関心。そんなところだろう。くそったれだ。もてはやすだけもてはやした後は用済み。情報として消費されていくのだ。

そのくだらない社会の恩恵に預かっていた自分にも反吐が出る。何もかもくそったれだと唾を吐き散らかしていたら、持田はこの子猫だったものに出会っていた。運命的な出会いだ。この子猫が生前愛らしく鳴いていた時には決して交わることはなかっただろうから。

溜め息をひとつついて、再び、持田は血塗れの子猫だったものを抱き、冬の街を彷徨い始めた。


****
猫とサッカープレーヤー
2012/12/22

[*BACK]
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -