「持田君の田舎へ泊まろう!」
テ〇東のあのネタ。持田暴走。



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いざ、身近な存在になると細かいことが気に懸かるらしい。

「ね。椿君、一体どこ生まれ?」
「山の中ですよ。関東は関東ですけど。でも、のどかでいいところなんです」

ふうん。持田が椿の顔をじっと凝視する。何か企んでるな。椿もおどおどしながらも持田を見返す。

「今度のオフは椿君ちのお宅訪問がいいんだけど」

そうきたか。椿は両親の顔を思い出し、頭を抱えた。持田さんが何か余計なことを言えば、母さんは「うちの大介をぜひ……!」なんて言いかねないし、父さんは有名人が家に来るというだけでテンパるだろう。ああ、それに母校に行きたいとか、果てに二人でハイキングをしようとか、何を言い出すやら。
持田さんは一応、常識人だとは思うのだが、俺の反応を楽しんでいるのか、たまにフェイントやシミュレーションを仕掛けてくる。そういうことはピッチの上だけにしてほしい。や、楽しいことは楽しいんですけど。

椿がぐるぐる思案を巡らせているうちに持田のゲームメイクは続く。

「やっぱり。君ってイントネーションがちょっと違うって思ってたんだよな。俺、生まれも育ちもサッカーもずっと都内だし、田舎って遠征以外滅多に行く機会ないからすっげえ興味ある」
「……電車乗り継いで、二時間以上かかりますけど」
「鈍行電車の旅?楽しそうじゃね。二人で弁当食べながら景色なんか見ちゃったりして。両親に挨拶か。緊張しすぎて笑える」

ビンゴだ。椿だっていくらチキンで守備がイマイチでもマークした相手の動きはきっちり読むのだ。

「駅弁もいいけど、手作りも悪くないな。俺、自炊しないんだけど、椿ってなんか料理作れる?どうせなら愛情溢れるやつがいいわ。だはー!自分で言ってて腹痛くなってきた」

持田はどんどんこれからの展開を組み立てていく。従者は王様の命令には従うしかないのだ。今度のオフいつだっけ……。椿は故郷の緑を思い出しながら、再び頭を抱えた。




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なんだかどんどん持田のキャラが崩壊している気がするので、そろそろクールな持田も書きたいと思います。


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