君なら大丈夫
丸井「もうそんな時期か。はえーな」
切原「え、先輩たちって外の学校受けるんすか?」
仁王「さあ、どうかのう」
丸井「受けるわけねえだろい。なんのために苦労して立海に入ったんだよ」
切原「そうっすよねー。…でもそしたら俺ら、誰を応援したらいいんすかね」
丸井「近所のお姉さんとか」
仁王「おらんぜよ」
幸村「お前たち、もう少し真面目にやったらどうだい?クラスにも一人や二人くらいは受験を控えている人がいるだろう?」
丸井「えっ、なんで幸村くん…」
幸村「赤也への叱咤激励も含めて参加させてもらおうかと思ってね」
切原「え、ええ…」
幸村「なんてね。じゃあまず俺からいこうかな。
なんの努力もしない内から“できない”なんて言わないように。未来には常に0より大きな可能性がある。その数字を大きくするか小さくするかは今の君次第なんだ。辛いと思うけど、ここが踏ん張り時だよ」
仁王「それは自分自身への戒めでもあるんじゃなか?」
幸村「ふふ、そんなところだね」
丸井「おーっし、そんじゃ次は俺な。
俺も勉強は好きな方じゃねえし、ついつい好きなことに逃げたくなるっつー気持ちは分かる。だけど後で後悔するような逃げ方だけはすんな!ここを乗り切ればもっと楽しいことが待ってるかもしれねえんだからさ、やらなきゃ損だろい?」
切原「ああ、気がつくとゲームのコントローラーかラケット握ってるっつーか、テスト前とか特にそっちが気になるっつーか…」
幸村「じゃあ次のテスト前にはラケットとゲームと漫画、全部没収しないとダメかな」
切原「ええ!?…なんか俺、妙なとばっちり食ってる気がするんすけど気のせいっすか、これ…」
仁王「赤也はほうっといて、次いくぜよ。
勉強が得意な奴、苦手な奴。運動が得意な奴、苦手な奴。いろいろおるじゃろうが周りにとやかく言われてうんざりしとる奴はおらんか?分かっとらんとか、知ったふうな口きくなとか、イライラしとらんか?これはおまんの未来を決めることかもしれんきに、意固地になったらいかんぜよ。
どうしても気に食わんのなら、最後にざまあみろと笑ってやれるような結果を出しんしゃい」
幸村「綺麗にまとめるのかと思ったけど、最後は仁王らしいな」
仁王「プリッ」
丸井「ほら次、赤也の番だぜ」
切原「うっす!えーっと…俺も立海受験するときはすげー大変だったし、今もテストとか先輩に教えてもらわねえとヤバイくらいだけど、それでもこの学校に入って良かったと思ってるぜ!勉強してる間は嫌になって、どうやってバレないようにカンニングするかとか考えたりもしたけどな…。あ、いやちゃんと実力で入ったっすよ!ちょっと仁王先輩と丸井先輩!そっちでコソコソ話すのやめてくれませんか!
あー…うまく言えねえけど、俺でも合格できたって考えればあんたもできるって気がしねえ?」
仁王「自分で言ってて悲しくならんか?」
切原「ちょっと泣きたいっす…」
丸井「まあ、これで呼ばれた俺ら三人と幸村くんからのメッセージが終わったから終わりってことで」
幸村「何言ってるんだいブン太。これから他の奴のメッセージをもらいに行くんだよ」
仁王「言うと思うたぜよ」
切原「あ!じゃあ俺、柳先輩んとこ行ってきます!」
幸村「逃げたね」
仁王「逃げよったの」
丸井「逃げたな。ま、俺はジャッカルんとこ行くからあとはシクヨロ」
仁王「なら俺は柳生の所へ行くナリ」
幸村「仕方ないね。俺は残りものの真田の所へでも行こうか」
切原「つーわけで柳先輩!受験生への応援メッセージお願いします!」
柳「そういう頼みなら、断る理由はないな。
みんな残された時間は少ないかもしれない。しかし、まだそのときが来ていない以上できることは必ずある。試験は数字との戦いだ。答案はもちろん、偏差値や受験者数、合格率といったさまざまな数字と向き合わなければならない。残り時間が0になるまで諦めるんじゃないぞ」
丸井「他の奴らより一番いいこと言うぜ。ジャッカルが!」
桑原「俺かよ!…ったく、ブン太のこういう振りには毎度参るぜ…。
いいこと、ってのはきっと他の奴らが言ってくれてるだろうから、俺からは少し違うことを言わせてもらうぜ。俺が言いたいのはただひとつ。感謝を忘れるな。自分では気づいていなくとも絶対に誰かに助けられてるはずなんだ。それは先生かもしれないし、家族や友達かもしれない。俺も覚えがあるからな。あー…なんか偉そうな言い方になっちまったけど、たまには“ありがとう”を言うのも悪くないぜってことだ!」
仁王「ほれ柳生、次はおまんの番じゃき。…ポエムはなしの方向で頼むぜよ」
柳生「そうですか?それでは詩ではなく、偉人の言葉を借りるとしましょう。
“できると思うにせよ、できないと思うにせよ、その通りになる”。恐らく、勉強の合間やふとした瞬間にも良い想像、悪い想像をしてしまうでしょう。そこで“できる”と思い込む…いえ、自分を信じてみてはいかがでしょうか。大丈夫、努力は必ずあなた自身の力になります」
幸村「気の利いた台詞のひとつでも言ってくれればいいんだけどね。真田だからあまり期待しない方がいいかな」
真田「幸村、それはどういう…いや、なんでもない。
いいか、知識とは無から湧くものではない。己の中にない以上、外から取り入れるしかないのだ。勘や運などといった曖昧なものになんぞ頼るな。刻苦勉励、ひたすら努力を重ね、労して励め。…だが、無理は禁物だ。睡眠や食事を怠ってはならん。その…風邪など引いてはならんぞ」
君なら大丈夫
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