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予知夢? 1



(仁王視点)

朝、珍しく飛川からメールが来た。


“たぶん思い過ごしなんですけど、念のため右目に気をつけてくださいねー”


はっきり言って意味が分からん上に不気味じゃ。試しに右目を覆ってみたが、瞬きに合わせて睫毛が手の平をくすぐるだけでいつもと変わりはない。

飛川には意味が分からんと返信を送り、答えを待つ間に暇潰しがてら参謀の意見を聞きに行くことにした。丸井がどこへ行くのかと聞いてきたんには適当にトイレと答えておいた。


「おや、仁王くんではないですか」
「おー、柳生か」


廊下に出たところで柳生に遭遇。ついでだからと俺の右目に異変がないか聞いてみたら、しばらく考え込んだのちに新しい映画ですかと聞き返された。恐らく日頃の行いのせいじゃ。とりあえず柳生の勘違いに乗って右目がうずいてしゃーないと答えておいた。右目は見た目には普段と変わらんらしいので良しとする。

それから女子やらなんやらに呼び止められそうになりつつ、参謀のおるF組へやって来た。B組からF組は遠いし滅多に来ることがないせいか、あの参謀が珍しく驚いとる。と言っても、普通の奴には分からん程度の差…じゃがのう。


「どうした、何か用か?」
「飛川から妙なメールが来たんでな。参謀の意見を聞きに来たナリ」
「妙なメール?」


片手にノートをするりと取り出し、閉じている(ように見える)目で画面の文字をなぞる。参謀の見解はこうじゃ。


「軽い口調ではあるが、飛川はわざわざこういう類いの冗談を言う人間ではない。理由までは分からないが無視しない方がいいと思うぞ」


そう言って参謀は俺の右目の瞼に触れた。まあ参謀がそう言うんならとおどけたように返すと、助言として飛川と付き合いの長い赤也と古怒田にメールを見せることを勧められた。別にその提案自体は賛成じゃがわざわざ二年の教室まで足を運ぶ気はせん。適当な理由をつけて向こうに来させようと口角を吊り上げ、後ろ手にひらりと手を振った。




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