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食べ物トリオ


ハンとジンの散歩がてら、通り沿いの本屋に立ち寄った。買う本は決まっているし、近くに繋げそうな場所もないので二匹に待てをかけて店に入る。文庫本コーナーでメモに書かれた本を手に取り、漫画本コーナーで欲しかった新刊を手に取った。文庫本は母に頼まれたもので、漫画本はそのお駄賃だ。

私はとっとと会計を済ませ、カバーを断って店の外に出た。いくらお利口さんとはいえ、はたから見たらハスキー二犬が繋がれずにいるのは怖いだろうと思ったから。しかし、そこには愛犬二匹を撫でくり回す見知った顔が1、知らない顔が2。なんぞこれ。


「おう、やっぱこいつら佳澄んちの犬か」
「ああ?赤也じゃん。何してんの」


見知った顔1は勉強会以来顔を合わせていなかった赤也だった。とりあえず知らない顔2には軽く会釈をしておく。赤也と同じ制服だから立海の…友達か先輩かな。赤髪にスキンヘッド、並ぶワカメ。うん、目立つ。

赤也たちは部活帰りに買い食いしようと通り沿いを適当に歩いていたらしい。辺りはそれなりに暗くなっているし、きっといつもこのくらいまで部活に勤しんでいるんだろう。特に興味もなかったのでへーとだけ返したらお前なあと呆れたような顔をされた。理由が分からん。


「まあいいや。ハン、ジン、行くよ。じゃあお邪魔しました」
「おう、もう暗いから気をつけろい」
「あんまり人通りの少ない道は通らないようにな」


なんということだ。赤也は先輩に恵まれすぎやしないか。いや、年聞いてないからたぶんだけど…どっちにしろ恵まれすぎだ。ガムの先輩とチョコボールの先輩はいい人。今度会うことがあれば名前くらい聞いてみよう。



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