top : main : IceBlue : 4/140


シャボン玉吹きのおじいさん


非常に残念なことにテスト期間が迫っている。帰宅部の私は部活動に勤しむ子ほど時間がないわけではないが、それでも課題を先に済ませないと後が怖いのに変わりはない。課題を進めてから、となると必然的にお散歩の時間も遅くなる。まあ、愛犬たちは冷え込む夜の方が元気だからいいけど。

街灯に照らされた公園。人はほとんど見当たらない。でも投げて人に当たったら怖いから、フリスビーは自分のすぐそばで股下をくぐらせたり背面で投げたりとコンパクトな動きに留めた。


「はい、次はジン…ん?」


不意に、二匹の動きが止まった。公園の奥を見つめて動かない。私も視線の先を辿り、じいっと目を凝らした。そこにいたのは街灯に照らされる…おじいさん?しかもシャボン玉吹いてる…。ヤバイ臭いがぷんぷんするぜ。

私はすぐに『め!見ちゃダメ!』と二匹を後ろから抱え込むようにして目隠しをした。しかし、頭を振ってその手を外されてしまう。だからダメだって!あれは足は生えてるから霊的なあれじゃないけどむしろ足が生えてるからこそ性質が悪いって言うか…!


「バウッ!」
「わー!ステイ!!ジン!!」


ただでさえシャボン玉が好きらしいジンは、私の腕を振りほどくとヤバイおじいさん目掛けて駆け出した。咄嗟に待てと大声で叫ぶ。そして、涙がちょちょ切れるほどお利口さんなジンはくーんと切なげに鼻を鳴らしながらもその場に留まった。まさか本当に止まると思わなくてびっくりした。とりあえず、また勝手に走り出す前にリード繋いどこう。

わしゃわしゃとハンとジンを撫でくり回しつつ、上目にこそっとおじいさんを盗み見る。…あれ?おじいさんが立った…というかおじいさんでけえ!お父さんよりでかいかもしれない!ひいい!やっぱり知らん顔して帰る!ハウス!



シャボン玉吹きのおじいさん

←backnext→


top : main : IceBlue : 4/140