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可愛いは正義


ふわふわ流れるシャボン玉、は、ない。愛犬たちが吹くそばから割っていくからだ。やめなさいと念を込めてジト目で睨んでみるが、きらきら光る瞳は『ねえまだ?まだ?』とせがむばかり。ちくしょう。可愛いから許す。


「せっかく蜂蜜入れて気合も入れたのにお前たちときたら…犯罪級に可愛いな」


後日、シャボン玉を買った私はフリスビーを小脇に挟んでシャボン玉を吹いていた。いつもの公園。通りかかる子供が今日はフリスビーはしないのと聞いてくる。待ってくれ、この特大シャボン玉を割られずに空へ届けるま…あー。


「…ねえ、フリスビー投げたくない?」
「いいの!?」
「うん。ハンとジン引きつけといて。お姉ちゃんシャボン玉するから」
「分かった!」


賢い私は通りがかりの子供にフリスビーを握らせ、ハンとジンの注意を逸らすことにした。しかし、ハンとジンは私以上に賢いことを忘れていた。…この子ら、二匹いっぺんに走らないんだよね。


「あー!もう!割っちゃダメ!」
「バウッ!」


ちくしょう。そんなに尻尾振りやがって。あざとい。あざといけど可愛い。私の完敗だ。

大きく膨らませようと優しく吹き込んでいた息。強めに吐き出せば、小さなシャボン玉がいくつも飛び出した。なぜかフリスビーを握らせたはずの子供も一緒になって割っている。もうやだ。お前らなんかだい…好き。

どうせ私は可愛いものに弱いんだ。



可愛いは正義

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