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13.08.01---01:47
なんか小ネタが書きたくなった。


IFの話。主人公デフォ名、日吉とホラーっぽいような。
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飛川「おーい、日吉くんやーい。まだ歩くのー」

日吉「うるさい。黙って歩け」

飛川「黙ったらひまになる」

日吉「いいから黙れ。出てこなくなるかもしれないだろ」

飛川「何が?」

日吉「ふっ…。決まっている」

飛川「…まあなんとなく察しはついてたけどさ」

日吉「この道を行ったところに小さな神社がある。そこが出るって話だ」

飛川「あ、猫じゃらし」

日吉「人の話を聞け」

飛川「いってえ!あんたもすぐ手を上げるタイプか!そんな奴は一人で十分だよ!」

日吉「見えてきたぞ」

飛川「人の話を聞け!」

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日吉「注連縄が切れている…。戸も鍵がかかっていて開かないとはおあつらえ向きだな。…そういえば飛川はどこへ行ったんだ」

飛川「おーい。日吉くん、もう中とか見た?」

日吉「どこをほっつき歩いてたんだお前は」

飛川「いや、そこでこの辺の子に会って。話聞こうと思ったんだけど逃げられた」

日吉「ほう…。追いかけたのか?」

飛川「ううん。面倒臭かったから無視してきたけど」

日吉「懸命な判断だな」

飛川「うん?」

日吉「戸は鍵がかかっていて開かない。つまりこれがどういうことか分かるか?」

飛川「つまり開けられない」

日吉「はあ…」

飛川「やめて。そういう顔でため息つかれると地味に傷つく」

日吉「こういう顔もしたくなる」

飛川「で、どういうこと?」

日吉「こんな人の来ないような場所でも鍵をかけるほど開けられたくないってことだ」

飛川「ああ、なるほど。開けるの?」

日吉「そこまでするほど馬鹿じゃないさ。まだ調べる場所は…」

飛川「ちょ、ちょ、しーっ」

日吉「……」

飛川「子供っぽい声が聞こえた。さっきの子かな?」

日吉「どこからだ」

飛川「たぶん、この床下だと思う。かくれんぼでもしてるんだよ、きっと」

日吉「…暗くてよく見えないな」

飛川「昼間だから懐中電灯持ってこなかったもんね。もうちょいそっち詰めて」

日吉「かすかだが、笑い声のような…」

飛川「あ、なんかきらきらしてるものがいっぱいある」

日吉「どこだ」

飛川「そこら中。なんだろ、猫?猫じゃらしで誘き出せるかも」

日吉「…おい」

飛川「チッチッチ。こっち来い」

日吉「…おい。立て。なるべく自然に」

飛川「なんで?」

日吉「いいから!走れ!!」

飛川「えっ!?ちょ、ぐえええっ」

日吉「チッ…予想していたのよりずっとタチが悪い…!」

飛川「首!締まるかと思った!」

日吉「口より足を動かせ!!」

飛川「これやばい!?やばいの!?そっち系なの!?」

日吉「感覚で分かるだろ!!ついて来てるんだよ!!」

飛川「嘘でしょ!?」

日吉「こんな状況で嘘がつけるか!!」

飛川「いやいやいや、こんな所で日吉くんと心中なんてまっぴら御免だよ!」

日吉「くそっ…笑い声で耳が聞こえない…」

飛川「待って日吉くん!そっちは道じゃないから!!」

日吉「早くしないと、道が消える…」

飛川「だ!か!ら!そっちじゃないって!!」

日吉「ぐっ…」

飛川「あーもー無理!喋ってないと無理!ハーン!!ジーン!!会いたい会いたい今すぐ会いたい!!」

日吉「離せ!!」

飛川「やだよ!離したら変な方行くでしょ!?」

日吉「今なんて言ったんだ!?」

飛川「や!だ!よ!」

日吉「は!?」

飛川「もういいから!日吉くん絶対私の手離さないでよ!!聞こえてなくても知らない!!」

日吉「くそっ…なんなんだいったい…」

飛川「帰るったら帰る!!帰って日吉くん殴る!!絶対に!!」

日吉「…ちょっと待て」

飛川「待たない!!」

日吉「今、かすかに犬の声が…。それに笑い声がやんだ」

飛川「犬?…これ、ハンとジンの声!!あっち!あっちからした!!」

日吉「うお、」

飛川「ハーン!!ジーン!!カムヒアー!!ヘルプミー!!」

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日吉「道路に出た…」

飛川「ハンもジンもいないじゃん…」

日吉「とりあえず、もっと人通りのある所まで戻るぞ。後ろは絶対に振り向くな」

飛川「頼まれても振り向きたくないって…。でも走らなくて大丈夫なの?」

日吉「今くぐってきた鳥居があるだろ。あいつらはあそこから外へは出られない。…依り代がなければな」

飛川「あははははー。…日吉くん、念のために殴っていい?」

日吉「やれるもんならやってみろ。それより先にお前を仕留めてやる」

飛川「あー…今さら安心して足が震えてきた」

日吉「俺の家までの辛抱だ。念のためじいさんに祓ってもらう」

飛川「ういーっす。そういえばさ、さっき聞こえたハンとジンの声ってなんだったんだろ。幻聴?」

日吉「助けに来てくれたんだろ。帰ったら俺の分も礼を言っておいてくれ」

飛川「…うん」

日吉「今さら泣くな」

飛川「だって、うちの子が天使過ぎて…」

日吉「……」

飛川「ねえ、その顔やめてって言ったよね?」

日吉「お前のその面を見ていると気が抜ける」

飛川「喧嘩なら買うぞこら」



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夏だし一回書いてみたかった。床下のきらきらしたものは目です。最初に見つけた子供を追いかけてたら帰ってこれなかった。