[←] [→] 君なしの日々は、 その知らせは突然だった。 その知らせを聞いた瞬間、俺は何もかも放り出して走り出した。 嘘だと思った。冗談だと思った。なまえが殉職したなんて。 「サスケくん、好きだよ。」 「……冗談も大概にしろ。」 「冗談じゃないもん! ……もー、サスケくんの分からず屋! でも、そんなところも大好き!」 「おい、くっつくな! 暑苦しい!!」 えへへ、って嬉しそうに笑うなまえを見てまあいいか。って内心で思った。 来る日も来る日も好き好き、大好き!! と言われていたので俺はいつもなまえに適当に返事をしていた。 ……本当は、なまえを好きなくせに。 だが、いつも思うんだ。まだこのままでいいか。どうせ明日もなまえは俺の元に来る。って。 ……その明日が来ないとも知らずに。 病院に着いてすぐになまえの元に向かった。なまえを見て、眠っているだけだと思った。なまえは一生目覚めないのか? こんなに綺麗な顔で眠っているのに。 「おい、なまえ、寝てないで起きろよ。」 揺すってもなまえは起きない。 「いつもみたいに俺を好きだって言えよ。……今日こそはその気持ちに答えるから……なあ、なまえ……」 もっと早く、なまえに気持ちを伝えていたら…… 何かが違っていたのだろうか。 いつもそうだ。俺は失ってから大切なものに気づく。 俺は、夢を見た。 なまえが隣にいる。そして、俺に向かって笑顔で言うんだ。 「サスケくん、好きだよ。」 「あぁ、俺も好きだ。」 両手を伸ばして、なまえを抱きしめようとして目が冷める。そして今日もなまえがいない日々が始まるのだ。 (170721) 『確かに恋だった』様より 君が、嫌い 5題「君なしの日々は、(嫌い)」 著:ももえさん [←] [→] [感想はこちら] |