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呼ぶ


「おいなまえ、そろそろ起きろ」
「んん〜……あと2時間……」
「……」

頭を叩いて、布団を剥ぎ取る。2時間も経ったら学校が終わるだろうが。今日は夏休みでも、登校日であって、休みではない。忘れているのかいないのか、不満そうな顔で睨むなまえ。

「ほんの冗談じゃん…」
「もうすぐ朝飯できるらしいから、支度して降りて来いよ」
「はいはーい…」

大きな欠伸をする似てない双子の妹。伝えることは伝えたので、部屋を出て一旦兄との共同の自分の部屋へ戻る。
ジョギングに行ったから汗だくのシャツと短パンから、白いカッターシャツと黒いズボンに着替える。朝には弱いが日課なので、毎日ジョギングを行なっている。それに比べて妹と来たら、毎日だらだら遅くまで寝て、宿題もやらずに溜めているようだし、勉学も運動もそこそこで、性格だって俺よりずっと明るくて社交的で、本当に双子か、というくらい俺とは違う。二卵性とはいえ同じ両親同じ境遇で育ったのだから、少しくらい似ても良かっただろうに。

部屋を出て階段を下り、食卓へ向かう。すでになまえ以外の家族が揃っていたから、一言二言交わしながら自分の席に座る。

「なまえはどうした?」
「俺はちゃんと起こした」
「……しょうがないなアイツは」
「全く、夏休みだからってだらだらして。待ってて遅刻しちゃいけないから、父さんとアンタ達は先に食べちゃいなさい」
「…いい、母さん。俺が呼んでくる」

結局また席を立って、なまえを呼びに階段を上がる。なまえの部屋の前に立って、ドアをノックする。

「おい、入るぞ」
「ちょっ、待ったストップ!」
「?」

どうやらちゃんと起きてはいたようで、中から返事が来る。すでに掛けていた手をドアノブから離し、様子を窺う。

「今着替えてるから。先に食べててよ」
「…」

だったら鍵くらい掛けろよな。そう思いながらドアから少し離れて、しかし言われたことには従わずになまえを待つ。放っておいたらいつまでも下りて来ないかもしれないしな。
壁にもたれて待つこと2、3分。なまえがドアを開けて出てくる。

「あれ。先に行っててって言ったのに」
「いいだろ別に」
「まあうん、別にいいけど」

薄いブラウスに濃紺のスカート。まだ少し髪が跳ねているのを弄りながら階段へ向かう。ひらひらとスカートを揺らしながら下りて行く後ろに、俺も続く。

「あたしたちって似てないよね」
「ああ」
「でもなんでかなー、くせっ毛はサスケと一緒だね」

イタチ兄さんのサラサラヘアーに似たかった、と愚痴るのを、それを言うなら母さんのだろ、と訂正する。確かに見た目は似てないが、考えてることは結構被ってたりするから、変なとこで繋がってんな、と思う。

「おはよう父さん母さん兄さん」
「おはよう」
「おはよう、早く食べちゃいなさい」
「あ、やったートマトだ!」

そういや好物も同じだったな。
サラダのトマトを奪い合い、登校道々喧嘩して、教室に着く頃には仲直り。帰りはそれぞれ別々で、家に着いたら、宿題を片付けようと誘うことにした。

「昔は兄さん兄さんって、可愛かったのにな…」

兄の寂しさ露知らず、俺達は今日も二人で過ごすのだ。



呼ぶ
(20100818)
目安箱より双子学パロ


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