×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

[]      [
ドキドキ!? 初デート 1/5


「あ、あの、サスケ君、今度の水曜日なんだけど……」

 昼休み、お弁当を二人で食べながら切り出す。こんな時でなければゆっくり話が出来ないからだ。帰宅中はサスケ君の歩く速さについていくのに必死で喋る余裕はあまり無いし、彼の家に行った時には……まあ、その、そんな暇は無いし。
 次の水曜日は、祝日だ。そして私の誕生日、の、前日でもある。当日に祝ってもらえるとは少しも思っていないので(悲しい)、せめて近日にデートでも出来れば、勝手にそれをお祝いだと思えるんだけど(悲しい)。

「映画とか、一緒に出掛けたいなって……」
「……めんどくせ」
「そ、そんなこと言わずに」

 サスケ君は本当に心底面倒くさそうにしている。眉間に皺を寄せてジト目で、溜息を吐きながらお弁当をつつく。

「最近そういう我儘言わなくなってたのによ」
「い、1回くらい……特別な日ぐらいは、デートしたいなと思って……」
「……特別?」

 そのワードに、サスケ君が少し反応を示す。面倒くさそうなのは相変わらずだけど、引っ掛かったのなら、それを糸口にしたい。

「うん、もうすぐ私の誕生日だから、できたらデートしてもらえたらな……と」
「……ふぅん」

 わあ、淡白な反応。サスケ君がドライなのは今に始まったことじゃないけど、やっぱりちょっと寂しいって思っちゃう。

「“もうすぐ”ってことは、水曜は当日じゃねえのか」
「あ、まあ……次の日がそうなんだけど。平日だと、あんまり遠くに出掛けるのは無理だから……」
「で。前日で妥協しようってのか」

 サスケ君は少し不機嫌そうに口元を歪めている。こういうときは口を挟まず、ご主人の命令を待つ犬が如く、サスケ君の次の言葉を待つのが一番。約一年の下僕生活で得た経験はきちんと生かしていこう。

「……フ、……まあ、そう我儘を言わないよう躾けたのは俺か」

 待っていると、サスケ君は納得した。経験が生きました。空気が和らいだのを確認して、水筒のお茶を飲む。

「仕方ねえな。いつもいい子にしてる褒美だ」
「え」
「お望み通り、デートしてやるよ」

 びっくりして、お弁当箱に乗せていたお箸に手をぶつけて、弾いて落っことしてしまった。「どんくせーな」と怒られたけど、気にしている場合ではない。

「ほ、ほんと!? ほんとに!?」
「……嘘にしてもいいが」
「や、やだ! ダメ! 行きたい! デート!」

 折角取り付けた約束を反故にさせまいと必死になる。私のその顔が面白いのか、サスケ君はクツクツと笑っている。ご機嫌だ。

「必死すぎ」
「だ、だって、ほんとにしてくれるなんて、思ってなくて……」

 正直、ダメで元々、最悪一人で行って気分だけでも味わおう、などと思っていた。なにせ、夏休みも冬休みも春休みも、そして去年はクリスマスなどの絶好の機会でさえもデートをしてもらえなかったのだ。「休みの日にわざわざ人混みの中に行く意味が分からない」と言って、何も無し、オア、サスケ君の家でサスケ君の自由にされる、ということしかなかった。

「たまには、ペットの散歩もしてやらなきゃな」
「ぺ、ぺっと……」
「精々着飾って来いよ。そうしたら恋人らしく扱ってやる」
「! が、がんばる!」

 恋人、らしく、デート、したい!
 俄然やる気の出てきた私は、早速服を買いに行く予定を立てる。サクラちゃんとか、お願いしたら服を見立ててくれるかな。これは今日にでも頼みに行かなくては。幸い土日を挟むので、用意する時間はしっかり有る。
 初デートに浮かれてはしゃいでいた私は、サスケ君がニヤリと怪しく笑っていることに、全く気付いていなかった。




 []      []

[感想を届ける!]