海でおぼれる 7/11 白波が寄せる波打ち際を、サスケくんに引っ張られるようにして歩く。岩場のあるほうへ歩いているみたいで、他の人たちが遊ぶ場所からは遠ざかっていく。 サンダルを履いたまま海水に足を浸ける。サスケくんがどんどん行ってしまうから、冷たさに慣れる暇もない。上着も脱げないままで、それを濡らしてしまう覚悟も追い付かない。海水につけても大丈夫な素材だと信じるしかない。 「この岩場の影にな、いい場所があるんだよ」 ザブザブと波を蹴りながら浅瀬を進む。そろそろ膝まで浸かる深さだ。ゴツゴツした岩場を回り込むように移動して、腰の高さまで海水に浸かる頃に目的の場所に着いたらしい。 海に突き出るような形の、頭よりずっと高くまである岩場。水に削られたのか大きな窪みができていて、さながら小さな洞穴だ。足元は、砂利も混ざっているけどほとんど砂なので、うっかりサンダルが脱げても足を怪我することはないだろう。 「(なんなら『撮影』用に整えられてるのかなってくらい安全そう)」 ここが実際に撮影場所になったことがあるかどうかは分からないけど、事務所関係者家族の万が一の怪我を未然に防ぐために、整備がなされている可能性は十分にある。それくらいお金の掛かった施設だからだ。 レストランは深夜帯以外常に無料で食べ放題のビュッフェが行われているし、大浴場も入り放題でドリンク飲み放題だし、卓球場やスポーツジム、景品ありのゲームセンターまでが無料で利用し放題だ。私たちは基本的にお金を払う機会がない。だけど従業員は何十人も居るし、とても丁寧な接客もされたので、かなりのお給料なんだろうなと感じる。イタチさんってどれくらい稼いでるんだろう。 「(なんて、現実逃避してる場合じゃないか……)」 「ここなら、浜の人間からは死角だからな。波の音で声も掻き消される」 「そ、そうだね……」 サスケくんの説明に返事をするも、そんな場所で今からすることが怖くて顔が引きつる。別に金槌でもないし、泳ぐのは好きなほうだけど、海で『泳ぐ』『遊ぶ』『日焼け』以外のことをするのは初めてだから尻込みしているのだ。 サスケくんは私の様子にもお構い無しで、海水に浸かった太腿を撫でている。視線は水着の胸元に空いた穴に釘付けで、頭の中はセックスをすることで一杯らしい。 「(我慢を強いられたことは可哀想だと思うけど、ちょっと怖いよぉ)」 サスケくんはぶつぶつと何か言っているけれど、波音にまじってよく聞こえない。反則とかエロすぎとか断片的に聞こえる言葉は、とにかく今の格好を喜ぶものだ。太腿を往復していた左手は股に迫り、水着の上から陰部の窪みを指でなぞっている。波に圧されてふらつくから、海水に揺れるサスケくんのシャツを軽く摘まんだ。 「本当は今すぐ入れたいけどな、ちゃんとほぐしてやるよ」 そのくらいの理性は残っているのか、と思ってサスケくんの表情を窺うけれど、どうやらそれも『自分のため』だ。虚ろな目は私の目と合うこともなく、己の欲望を満たすことだけを目的としている。だけど私はその様子に、ぞわわ、と興奮を覚えていた。 「んん、」 「しっかり濡らせよ、海水が入ってもぬめるくらいな」 「うん……」 受け入れるように少し脚を開けば、水着をずらして陰毛を整えた陰部をあらわにされる。そういう乙女的秘密を暴かれると異様に照れくさいのは何故だろう。だけどサスケくんはそんな些細な変化には気付いた素振りもなく、陰部へ侵犯すべく私の股をまさぐっている。 サスケくんの指は焦ったようにひだを掻き分けて、いつもするように焦らしたりはせず、すぐに中に入ってきた。 「んっ、」 波に圧されてサスケくんに圧されて、よろけるように小さく二歩下がってしまう。すると逃がさないように左腕を掴まれ、サスケくんのほうへ引き寄せられた。 「逃げんなよ」 「そ、そういうわけじゃ、」 「気持ちよくしてやるから、掴まってろ」 促されるまま、左腕はそこを掴むサスケくんの右腕に絡ませるようにして掴まり、右手は私の陰部を弄るために下がったサスケくんの肩に掛けた。 自然と体を寄せることになったから、サスケくんはついでみたいにキスをしながら、膣内に入れた指をぐるりと回した。気持ちいい場所を擦るようにぐりぐりと動く細長い指。知り尽くされた性感帯を攻められて、重なった唇へ声を漏らしてしまう。 「んんゥ、」 「感じやすいよなァ、お前。イカせるのも簡単だしな」 「そ、んなこと、ない、ッ」 「ないか? ふうん」 相槌を打ちながら、私を掻き乱す指の動きが激しくなる。その途端、ビリビリと快感が襲って、膝が曲がり、逃げるように腰が下がった。 「あアッ! やァアッ!」 逃げた分を追うように一歩詰め、Gスポットと奥の気持ちいいところとを、私の反応を見ながら的確に攻める。ガクガクと震える膝を押さえ込むように太腿に力が入るけど、膣がきゅうきゅうするだけで震えは止まらない。サスケくんを掴む両手にもぎゅうっと力を込めてしまうけど、サスケくんはそれに文句を言うこともなく、私を攻め続けている。 「俺の言葉を否定した割に、随分感じてるじゃねえか」 「ンィイ、ヒグゥゥ……ッ!」 「悪い子には、お仕置きが必要だよな」 襲い来る快感に顔をくしゃくしゃに歪めていると、不意にそれが止んだ。サスケくんの指が私から出ていったのが、俯いていたから見えた。必死で堪えていた元凶が止んでガクリと力が抜け、サスケくんの肩に掛けていた右手が、肘まで落ちた。 手足に力が入らなくて、また波にゆらゆら揺らされる。弱々しくも掴んだままのサスケくんの両腕は、彼の水着をずらす仕事を終えると、私に手を離させて体を半回転させた。 後ろを向かされると腰を引き寄せられ、そこに硬い肉棒が押し当てられる。お尻の感触を確認するように数回擦り付けた後、サスケくんの手で目標地点に向けられる。 「イカせてやんねえから、覚悟しろよ」 言うが早いか、猛々しい陰茎がなかに侵入してきた。太く、硬く、怒りすら感じさせるその男根は、グリグリと抉るように内壁を擦りながら入ってくる。手淫で感じさせられすぎてむしろ少し狭まってしまったのか、奥へ来るほど苦しいくらいだった。 「アッ、アアゥッ!」 「ククッ、なんだよ、いい眺めだな」 私の背中を覆う薄いレーストップスを捲り上げて、V字に開いた水着から覗く素肌を撫でる。セクシーな水着姿にますます興奮したのか、なかを侵略している陰茎がビクビクと暴れる。それにすら敏感に反応してしまって、腰がビクンと跳ねた。 「ヒャッ、あぁん……!」 「こんなにだらしなく喘いじまうくせに、よく“感じやすくない”だなんて言えたな」 これじゃイカさないようにするほうが難しい、と嗤いながら私の両腕をそれぞれの手で掴む。肘の裏を掴んだままぐいっと腰を押し付けられ、奥の奥まで突き上げられた。 「!! アアアアッ!」 膣の奥行きを無視した突き上げに、痛みで声を上げる。それだけ奥を突かれているのに、サスケくんは根本まで入っていないらしく、物足りなさそうにまだ押し付けてくる。 「痛い! いたいぃ……!」 「はっ、お仕置きなんだ、これくらいは我慢しろ」 「ウッ、あぁ、やだァ……!」 私が身を捩って抵抗すると、言葉とは裏腹に少しだけ加減するようにしてくれた。それでも一度与えられた鈍痛はなかなか引かなくて、痛みと快感が同時に私を犯す。 両腕を手綱のように引かれて、サスケくんの思うままに揺さぶられる。気持ちいいのに、痛くて、痛いのに、気持ちいい。おバカな脳は二つの刺激を次第に同一視し始め、私を憐れなほど乱れさせた。 「ヒグ、ァアッ! ア、アゥ、アアッ!」 「どうした、痛いんじゃなかったのかァ? ッハハハ!」 サスケくんの嘲笑う声が背中に掛かる。滲んだ涙は痛みのせいか快感のせいか。 頭が朦朧として立っていられない。甘い痺れに打ち震える体を支えているのは、サスケくんの両手だけ。海水の浮力に浮かされているのか、ただ波に揺れているのか、サスケくんに揺さぶられているのか、そんなことももう分からない。ただイキそうで、イキたくて、そのことしか考えられなくなってしまっている。 「イク、イッ、ちゃうぅぅ!」 「フ、ダメだって言ったろ」 「あ、? や、ぁ」 なかへの刺激が突然消えて、喪失感に狼狽する。息を乱して首を回せば、据わった目で、口元だけ笑い、私を見下ろすサスケくん。陰茎を抜かれたばかりの膣がひくひくと疼く。 「なんだよ、そんなにイキたいのか?」 「あ、……ぅぅ」 「正直に言ってみろ。そうしたら、許してやるかもな」 腕を引っ張って体を起こされる。汗か海水の飛沫か分からないものがこめかみを滑り落ちるのを感じながら、力なく頷く。 「……イキ、たい……」 「違う。“感じやすくて簡単にイカされる淫乱です”、だ」 「っ、」 羞恥に、ただでさえ火照っていた顔に熱が集まり、後頭部あたりがじんじんと熱くなる。もやがかった脳はますます動きを鈍らせ、ただ『サスケくんの命令に従わなければ』と、たぶんそんなことを考えていた。 言葉を喉に詰まらせていると、私の声を聞き取りやすくするためか、さらに腕を引っ張られる。耳元へ荒れた息を吐きかけられ、膣口に怒張して熱い男根を擦り付けられて、ざわざわ、背筋が粟立つ。 「わた、しは……っ」 か細く震える声。潤んだ目から涙が落ちて頬を滑る。途切れた言葉の続きを待ちながら、サスケくんはその涙を掬うために私の顎を後ろに向けさせた。目が合って、なかがじぃんとした。 「かんじやすくて……サスケくんに、簡単にイカされちゃう……淫乱です……」 「ククク、そうだ。いい子だな……」 喉を鳴らして笑い、満足そうに囁く。チョーカーに歯を立てるように甘噛みをされ、次いできつく吸い付かれる。私はくらくらする頭でそれを認識したあと、サスケくんに与えられる凶暴な快楽に、卑しいほど溺れることになった。 [←] [→] [感想を届ける!] |