夢は貴方のお嫁さん。
「ねーねー、のぶりーん。」
「・・・」
「無視かコノヤロー。」
なんだなんだ。
可愛い姪っ子を、いい歳してこのおっさん無視だよ。
大人げなーい。
傷付くー。
私はちっちゃいころから、この無駄に顔の怖い叔父が何だか好きなんだ。
覚えてないが、私はパパに抱っこされると号泣し、試にとママがのぶりんに抱かせてみたらピタリと泣き止んだらしい。
パパは泣きながら「兄上は悪だ!」って叫んだらしいけど。
「のぶりん、のぶりん。」
「・・・」
「のぶりん、構ってよー。」
「愚か者め。
さっさと授業に出るがよい。」
「えー、やだー。」
だって今の時間、うちのクラスはパパの授業だもん。
私ばっか当ててくるから鬱陶しい。
立派な机に座って書類に目を通しているのぶりん。
もうこっちも見てくれなくて、寂しいなー。
ふっかふかの高そうなソファにバタンと俯きに倒れる。
もうあれだ。
不貞寝だ。
不貞寝してやる。
「・・・余の邪魔はするでないぞ。」
「おお、」
死体みたいに動かなかった私は、急にフワっと宙に浮いた。
いつの間にかのぶりんが傍にいて、首根っこを持たれてて。
私は猫かなんかか。
「のぶりんはアレだな。
ツンデレだ。」
「余を訳の分からぬものに分類するでないわ。」
でもさ、そう言いながらも私はのぶりんのお膝の上じゃんか。
このツンデレめ。
ホントに可愛いおっさんだ。
「のぶりん、私側室で良いよ。
結婚しよう。」
「愚か者めが。」
夢は貴方のお嫁さん。
(あら、今日も仲が良いのね?)
(あ、濃ちゃん。妬けるー?)
(そうね。上総介様を殺してしまいたいほど。)
(・・・のぶりんの嫁さん怖いね。)
(・・・)
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