持ってかれたプレゼント





「ちょっとそこにお座りなさい。」

「どうしたんだい、バンビーナ?君の可愛い瞳が細くなっているよ?」

「いいから座れスケコマシーザー。」



深夜3時を過ぎて、むせ返るような香水と酒の匂いを纏って帰ってきたこの陽気な男を、今日という今日は許すわけにはいかないのである。いつも好き勝手女の子の尻ばっか追いかけやがって。お前が歯の浮く言葉で誑かしたお姉ちゃん方から、私がどんだけ被害を受けてきたか分かってんのか。本当に、リサリサ姉ちゃんから言われてなきゃ、こんな軟派男のとこに居候なんてしてない。クッソ…なんでスージーQさんとこじゃ駄目だったんだ…!ジョセフのせいか…!あのオーノー野郎め…!踏んづけてやる…!



「いいですかシーザーさん。私、ピカピカの高校生。規則正しく、勉学に勤しみたい。
それが貴方のせいで台無しだ。いつも酒と香水臭い。綺麗なお姉ちゃん方に絡まれる。うんざりだ。」

「ふぅん…バンビーナにはちょっと刺激的ってことか?」

「子ども扱いしてはぐらかすな!」



っつって…頬ふくらまして怒鳴る私はどこから見ても子供だろう。そりゃ、まだ中学卒業したばっかだ。16歳にもなってない。胸だって…いや、これから育つし。めっちゃ育つし。お母さんも巨乳だから問題ないし。



「…つまり、一人の女性として扱って欲しいんだな?」

「・・・あ?」



ブツブツ幸せナイスバディ計画を呟いてたら、急に視界が暗くなった。ズイッと乗り出してきたシーザーお前何事だ。酒と香水臭い。



「俺なりに自制してたんだが、君が望むのならお言葉に甘えよう。日本には『据え膳食わぬは男の恥』という言葉があるとジョセフが言ってたしな…」

「え、ちょっと近い近い離れて臭い!!」

「臭いっていうのは酷い…傷付けた責任をとってもらおう。」

「何様だおまえは・・・?」



・・・なにゆえわれらはぜろきょりか?
あれ、でもくっついた口からは酒の匂いしな・・・くっついた・・・?



「?!」

「おっと、どうせならビンタじゃなくて、この手は俺の首に回して欲しいんだけどな。」

「、ばっかじゃないの?!ばーか!ばーか!」

「うーん…やっぱりまだバンビーナだな。」

反射的に飛び出した私の手を掴んだまま、シーザーは綺麗に笑ってる。なんだコイツ…!今、だって、私の、



「甘いプレゼントももらったことだし、俺はそろそろ寝ようかな。バンビーナも早く寝ないと大きくならないぜ?色々と。」

「一生起きてくんなバーカ!!」



投げたスリッパは虚しくシーザーの部屋のドアに弾かれた。あんなやつ、大っ嫌いだ!!



持ってかれたプレゼント



(君の誕生日には、俺が世界一のシニョリーナにしてやるよ)

(、バカバカバカー!!!!!)



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