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「成程、未来だったか!」
「、…?」
きょとり。
想像していたものとは正反対の幸村の反応に、ゆみは顔を伏せかけて止まった。
いずれは話さなければならないと思っていた事。
多少は気味悪がられたりするのではと思っていたのに、幸村は只管感心するのみで。
佐助も似たような反応で、着いてきてしまった政宗は口笛まで吹いている。
相応に驚いているのは小十郎だけだが、彼のゆみを見る目にはそれ以外の色はない。
「、信じてくれる…の…?」
「む?真実ではないのか?」
そんなにストリと信じられる話だろうか?
そう思って聞けば、違うのかとでも言わんばかりにきょとりとする幸村。
戸惑うゆみに、佐助はくつくつと喉を鳴らした。
「ゆみちゃんが最初に言ったんだぜ?
『私は、元々この世界と繋がりを持ってない人間。』だって。」
まあ、言ったって言うか書いたんだけど。なんて佐助は笑う。
確かに、そんなことを説明したような気もする。
だが、こんなにも簡単に受け入れられる問題だろうか?
そんなゆみの戸惑いが分かるから、幸村も笑う。
「世界や時間を超えた程度で驚きはせぬ。
そなたには、色々と驚かされてばかりだろうに。」
言われてみれば、だが、『その程度』なんて認識で括って良い問題でもない。
ぬぅ…なんて、幸村の様に唸るゆみは、可愛らしい。
「Hey,色々って例えばどんなことだ?」
「、」
「政宗殿には関係ないことで御座る。」
「テメェ…随分と調子に乗るようになったじゃねぇか?」
うんうんゆみが唸っていれば、ついと割り入ってきたのは政宗だった。
興味深々と言わんばかりにゆみに近付く政宗。
すると幸村がゆみを隠すように政宗の前で立ち塞ぐ。
ピクリと眉をはねさせた政宗だが、それにも幸村はぷいとそっぽを向く。
そうすれば、始まる激しい怒鳴りあい。
ぎゃんぎゃん喚く政宗と幸村にゆみは驚くが、直ぐにはたりと息を飲んで幸村の口を塞いだ。
「もがっ、?」
「駄目…まだ、皆寝てる…」
ぽふりと苦しくないように片手で幸村の口元を覆い、『しー…』なんて自分の口の前に人差し指を起てるゆみ。
なんて可愛らしい仕草か。
少し顔を赤くして大人しく黙る幸村に彼女は小さく微笑むが、それもただ二人が仲睦まじく戯れ合っているようにしか思えなくて、政宗には非常に面白くない。
「It doesn't flirt!!(いちゃついてんじゃねぇ!!)」
「某に南蛮語で話さないで下され!」
「Damn it!!」
そうして再びぎゃんぎゃんと騒ぎ出した二人。
仲が良いのか悪いのか分からない。
こめかみを抑える小十郎と、呆れ顔の佐助。
「…大変ですね。」
「あぁ…うちの主が本当にすまん…」
深く溜息を吐く小十郎に、ゆみはふむりと頷いた。
教育のお手伝い、出来るかもしれません。
(政宗殿の、スラング…正しましょうか)
(すら・・・?)
(ちょっと、乱暴なのばっかり…)
(ゆみちゃん、竜の旦那は元々の口が悪いんだぜ?)
(・・・(言い返せねぇ))
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