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「真田、うちの政宗様がすまなかったな。」

「う、うむ、いや…」

「右目の旦那も大変だー。
お互い、厄介な主人を持っちまったね。」

「Hey,猿!
真田と一緒にすんじゃねぇよ。」



どかりと腰を下ろす小十郎にホッとして、彼らは漸く落ち着いて話し始めることが出来た。



「あぁ、そう言えば…
真田、お前のとこの忍に少し怪我をさせちまった。
すまねぇ…」

「む、そう言えば片倉殿は六郎のお相手を…」

「今日は望月の方だっけ?
…で、怪我って酷いの?」



真田忍隊には望月六郎と海野六郎、二人の六郎が居て少々ややこしい。
望月六郎が帰ってきたのは知っては居たが、隊長である自分のところに未だ顔を出しては居ない。
怪我の具合を案じて眉を顰める佐助に、小十郎はばつが悪そうにこめかみを掻いた。



「一歩間違えば互いに大怪我を負ってただろうが…お前のとこのくのいちに助けられた。
望月はそのくのいちが手当てに連れてったぞ。」



俺も手当をして貰って、この部屋まで案内までして貰った。
本当に申し訳なさそうに顔を歪める小十郎。
幸村と佐助は、何となく嫌な予感を感じ顔を見合わせ、政宗は嬉々としてその話題に食い付いて。



「Hey,小十郎!!
それはどんなgirlだった!?」

「はぁ…狐の面を被っていましたし、名前も聞いておりせんので…
然し真田、破廉恥破廉恥うるせぇお前にしては、露出の高い格好を許しているな?」



急に活き活きとしだした主人に首を傾げ、思い返したくのいちの格好に幸村にも首を傾げる小十郎。
政宗は途端ニヤリと人の悪い笑顔を浮かべ、相反して幸村と佐助は顔を顰める。
小十郎の前に姿を現したのは、間違いなくゆみだろう。
そして、小十郎の話を聞く限り、彼女は望月六郎の手当の為に、未だ城内に居る筈なのだ。



「やっぱり城にいるんじゃねぇか!
小十郎!!そのくのいちはどの部屋に居る?」

「其処までは分かりかねますが…」

「まぁいい。
真田、猿、テメェ等が隠すんなら、俺は自力で見付る!」

「ま、政宗様…?」

「ま、政宗殿!?お待ち下され!!」



素早く立ち上がって部屋を飛び出す政宗。
事態が読めなくて戸惑う小十郎。
幸村は慌てて政宗を追おうとするが、それはガシリと肩を掴まれて制された。



「な、何だ佐助!!早く政宗殿を追わねば…!!」

「まぁまぁ。大丈夫だってー。」

「大丈夫ではないであろう!」



へらへらと笑う佐助に、幸村は怒鳴る。
只でさえ、ゆみの存在が政宗を惹きつけているのだ。
この上、素顔まで見られては、攫われてしまうかもしれない。
考えは同じだろうに、何を暢気にと更に怒鳴りかけた幸村に、佐助は笑って上を指差した。



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