空への帰りみちのなっちゃんより!


-----


眠気と気だるさが頭の半分を支配する午後の授業。
周りから優等生と称される志村妙もその例外ではなかった。
居眠りこそしていないが、クラスの半分が机に突っ伏す中、妙もぼんやりと校庭を眺めていた。
どこかのクラスの男子がサッカーをしている。
その様子を何の気なしにみていると、ふと視界に入ったピンク色。
ディフェンスを抜いて、ゴール決めたまさにその瞬間。

「妙ーっ!!」

不意に呼ばれた自分の名前に、ぼんやりとしていた頭が一気に覚醒する。

遠くにいるはずのピンク色は、しっかりと自分の方を向いて大きく手を振っていた。

(神威くんの馬鹿…!)

恥ずかしさから視線を教科書に戻して聞こえないふりをする。
クラスの何人かもその声に気付いたのか、妙の方をちらちらと見ていた。

(ああ、最悪だわ…)

顔に熱が集まって行くのがわかった。
それに気付かないフリをして平静を装う。
妙!と何度か聞こえた気がするが、それも無視だ。

早く授業が終わってくれることを祈りながら、妙は一心に教科書を眺め続けた。


(目覚まし時計)







- ナノ -