がしゃん、と部屋に大きな音が鳴り響く。この音すら私を不快にさせる。なんて不快な音だろう。あまりの不快さに顔を歪めれば、足元に割れた陶器の欠片が転がってきた。それを踏みつけようとすれば強い力で腕を掴まれる。きっと夏侯覇だろう。私以外にこの部屋にいるのは彼だけだ。どうやら私の行為を止めようとしているらしい。視線だけ彼へと動かせば、夏侯覇は随分と悲しそうな顔をしていた。

「気持ち悪い。何もかもなくなればいいんだ。だから、こんな物、」
「そんなことをしたって、何も変わらない。お前が傷つくだけだ」

腕を掴んでいる力が強まる。痛い筈なのに何故だろうか。私には痛いとは思えなかった。こんなことぐらいでは私はもう痛いと思えなくなっているのだろうか。

「なあ、なまえ、俺じゃ駄目なのか」

私は答える代わりに夏侯覇にむかって微笑み、そして勢い良く陶器の欠片を踏みつけた。貴方じゃあの人の代わりになんてなれないよ。そう言えば夏侯覇は先程以上に悲しそうな顔をしてみせた。そんな顔を見ていたら、遅れて、少しだけ足に痛みを感じた。

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