あれから5年、たったよ?
どんなに月日が流れても、やっぱり。アナタを思い出します。
どんなに月日が流れても。
アナタが居ないこと、慣れそうにありません。
『B面』
「私、もうすぐ誕生日、だよ。」
5年前のあの日、アナタは明るい声で私の名前を呼んでくれた。
覚えてる?
今でも思い出すよ。アナタの声。
私にお祝いの言葉、言ってくれたよね。
私の隣で。
「…俺に言ってるのか?」
私、今は違う人の隣にいる。
「今、私の目の前には、クラウドしか居ないよ。」
アナタに似てる人の隣、いるよ?
でも、アナタは居ない。
いつの間にかついた私の癖。
上を見上げるの。
青い空を。
「そうだな」
ふふっ。気づいてるかな?こういう時、クラウド、なんだかこの空にヤキモチ妬いてるみたい。少しだけね、不機嫌になるの。
「お祝い、してくれる?」
「興味ないね」
ほらね?なんだか、嬉しいな。
「もう。…クラウドは、冷たいんだね。」
だから、ちょっとイジワル言ってみたくなっちゃうの。
「なんだ?何か欲しいものでもあるのか?」
「別に、そういうわけじゃ、ないんだけど。ね?」
「アンタの欲しいものなんでも用意してやる。」
クラウドは本当、優しい。
「うーん。でも、本当に欲しいもの、ないの。」
素直に、クラウドの事好きだなぁ。って思うよ?
でもね。
アナタが恋しい。
「そうやって飽きもせずに空を見てるよな。よく首痛くならないな。」
「ふふっ。ずいぶん、イジワルな言い方、だね?ヤキモチ?」
「何言ってんだアンタは」
クラウドが優しければ優しいほどに、アナタを思い出すの。
アナタの瞳を思い出す。
「空、好きなのか?」
「青空が好き、かな?この空より小さいけど一番好きな空、あったよ?
…でも、今はどこにいて、どこ流れてるのかな?」
今アナタは、どこにいますか?
なんだか最近、空と海が交じって、よく分からなくなりそうなの。
「…好きだったんだろ?アンタにもわからないのか?」
鋭いね。
さすが、元ソルジャー1st。
……あの人と同じ。
「クラウドは、好き?空。」
でも、私の好きだった声とは違う。
「そんな風に空を見たことがないからわからないな。」
「そっか。」
なのに、クラウドは。アナタを思い出させる人なんだよ?
「……で?」
「うん?」
「いや、誕生日なんだろ?プレゼント何が良いんだ。」
不思議な人で、
今、私の隣にいてくれる人。
素直に、好きだなぁ。って思える人。
でもね?
やっばり、アナタが恋しい。
アナタの声が聞きたい。
「……声、かな?」
「?……声?」
あの時みたいに私の隣で。
私の名前を呼んで。アナタの声を聞きたい。
あの時の私の、ささやかな希望。変わらないよ?
“ザックスともっと一緒に居たいです。”
私が飽きるぐらい、ザックスの声、聞かせて。
「みんなの声。みんな一緒、それでみんなで笑う声。」
「見た事ないような花とか言われるのかと思っていたけど、……声か、アンタらしいな。」
「どう?何でも屋さん。」
「もちろん用意して見せましょう。」
今、私の隣にはあの人に似ている人が居てくれます。
今、私の周りには心強い仲間が居てくれます。
だから、泣き言も弱い姿も出さずにいれるよ?
でも。心の中だけは、アナタに頼って、あの頃のままの私。
「俺、個人からもやるよ。」
だからね。あの時よりも強い私になって、そしたら―――。
「本当?なに?」
また、もう一度アナタに会いたいな。
少し強くなった私を見てほしい。その時は、感想聞かせてね?
「アンタの探してる空を一緒に見つけるよ。」
クラウドも一緒に会いに行くって。
ザックス、きっとクラウドの事気に入るよ。
「ふふっ。楽しみにしてるね、なんでも屋さん。」
その時は、クラウドを紹介してあげるね?
「あぁ、任せろ」
ザックスどんな顔、するかな?
ヤキモチ妬いてくれる?
「ねぇ、クラウド?私、誕生日楽しみなの、久しぶり。」
「そうか。用意のしがいがあるな。」
青い空はザックスの事、思い出す。
アナタの綺麗な瞳の色。
クラウドはね?海の色なの。
混じってしまわないうちに、ザックスの声。聞きたいよ。
また、私の名前を呼んで、
もう一度聞きたいよ。
「エアリス!誕生日おめでとう!!」
あれから5年、たったよ?
どんなに月日が流れても、やっぱり。アナタを思い出します。
どんなに月日が流れても。
アナタが居ないこと、慣れそうにありません。
でも、今は私、独りじゃないから。
まだ頑張れそうだから。
もう少し強い私になれたら、また、会おうね?
また、ザックスの隣でザックスの声聞かせてね。
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A面・B面という言葉が泣きたくなるぐらい古いです。
この2人には幸せになっていただきたい。
2010 03 14