今日もザックスの作ってくれた花売りワゴンでお花を売る。



ザックスがお仕事に行ってから数ヶ月。




本当はもう帰ってきているんじゃないかって疑ったりしながらザックスの作ってくれた花売りワゴンを押してザックスの姿を探す。


そんな会える確率なんてたかが知れてるのにね‥。



















        『確率』

























「お嬢さん一本いくらかな?」
「1ギルです。」
「じゃあコレとコレとあと、そっちのも貰おうかな。」
「はい、ありがとうございます。」








「エアリスまた買いに来たよ。」
「ありがとう。お母さん?」
「うん、そう!」
「じゃあ、一本おまけね。」
「気前良いね。」
「ふふっ。」








「あら、綺麗ね。何本か頂こうかしら?」
「コレなんか綺麗ですよ?」
「じゃあそれを5本頂戴。」
「ありがとうございます。」







今日も色んな人が来てくれて、なんだかんだで完売。

色んな人に会えるけど、ザックスにだけは会えない。




‥‥‥まだ時間早いし、ちょっとお散歩しようかな?






















‥‥‥。






















‥‥‥‥‥‥。























気晴らしにって思ってきたのに、花売りワゴンを押しながらやっぱりザックスの事、探してる。


そんな“たかが知れてる確率”に淡い期待、したりして。











ふふっ、ダメだね。




























バキッ「きゃっ。」




エアリスは上の空で歩いていたら前に在った少しの出っ張りに気付かず花売りワゴンのタイヤを引っかけて壊してしまった。











「‥‥‥ザックス。」













‥‥ザックスが作ってくれたのに‥‥。
















ザックスが時間を作って作りに来てくれたのに‥‥。















ザックスとの大切な‥
  ――思い出……なのに。




















…私、壊しちゃった。


















ザックスの花売りワゴン、壊しちゃった。



















「‥‥お散歩、しなければよかった。」










――頬が冷たく濡れる。








「本当、ダメだね。」







外れたタイヤを手に取りワゴンをひっくり返し付け直そうと、裏側をよく見て見ると文字が書いてあることにエアリスは初めて気が付いた。



「?なんだろう?」






























“俺はエアリスといつも一緒だ!!”










それはザックスの下手くそな字で彫ってあって、より一層下手くそに刻まれた字が、温かかった。







「ふふっ、ばっかみたい。」



エアリスは頬を濡らしながらその字を大事そうになぞる。







これぐらいなら私でも直せそうだったけど、でも、ザックスに直してほしいからこのままで大事にとっておくね?



「ザックス、このワゴンと一緒に待ってるから。ちゃんと帰ってきてね?」














濡れた頬は、
    ――温かかった。








“そんなたかが知れてる確率”より
“出会えた奇跡の確率”を信じて、また会える日まであなたを待っています。






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見苦しいくらいに改行してるのはエアリスの上の空感を出す為ですよ?とココで言い訳させてもらいます(汗)
なんか欠伸の出ちゃう話でスイマセン(´Д`)

2010 05 29

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