死んだ人間は生き返らない。


それはこの星が出来る前から決まっていたのかも知れないし、出来る際にに決まった事なのかも知れない。

どちらにせよ生から死は存在するが、死から生は存在しない。



それはアンタも例外じゃないだろ?




俺はアンタの事好きだったよ。





優しい眼差しで大地の暖かさを思い出させてくれる碧の瞳が好きだった。



心が落ち着く口調で俺の気持ちを穏やかにしてくれる声が好きだった。



心の奥の奥に隠してた傷を優しく触れて癒してくれる優しい手が好きだった。



どんな時も俺の鼓動を確かに聞いて小さな声にも傾けてくれる耳が好きだった。


アンタの仕草、癖、匂い全部引っくるめて





“エアリス”を形作るもの全てを愛してた。






なのに俺は一つも、唯の一つも伝えなかった。





いつもいつでも想っていたのに言葉を口にするのは難しくて。




時間はいくらでもあった。


焦らなくても俺たちにはいくらでも時間はあると思っていた。




だから想いを口にする勇気がなくても、想いが伝わらなくても良いと思っていた。



俺はその時間、五感の全てを使ってエアリスを感じていられれば良かったし、感じることの出来る俺自身の五感のことが好きだった。




今となっては、




優しい眼差しを見ることの出来ない眼も




落ち着いた口調を聞くことの出来ない耳も




傷を癒してくれるような手に触れられない手も




小さな声にも傾けてくれる耳に届かない声も




その仕草や癖が薄れていってしまうような曖昧な記憶の頭も




花の香りがするアンタの匂いを感じられない鼻も…。






アンタの存在を認めなかった世界やアイツよりも






『五感』






そのすべてが憎い。




見たい。
触れたい。
感じたい。






死んだ人間は生き返らない、だからこそ…。





居ないことより居ないと感じさせる俺自身の五感が憎たらしい。






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個人的には暗くてヘタレなクラウドが愛しいです(笑)ゴメンねクラウド(*´∇`*)

2010 05 12


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