葛
篭
つい最近、ザックスが髪型を変えた。
変えるまでには色々なこと、ザックスの中で渦巻いていて辛そうで。
髪型をスッキリしたものに変えたらザックス、中の渦も少しおさまったみたい。
ふふっ。自称「大人っぽい俺!」にイメージチェンジなんだって。
よかった。
調子も少しずつ戻ってきたみたい。
「なぁエアリス!」
「なーに?」
「前の俺と今の俺どっちがカッコイイ!?」
「ふふっ。今のザックスの方がカッコイイんでしょ?」
「まぁそう言ってほしんだけどさ、エアリスの純粋な褒め言葉が欲しいわけよ!」
「なにそれ?褒められる気満々だなんて、ザックスやっぱり変。」
「笑うなよな!俺はいたって本気だ。だってほらさ、カッコ悪くはないよな?な?」
「うーん、どうだろう?アピールポイントは?」
「1、 エアリスが好き。2、ずっと好き。3瞳がキレイ!」
「クスクスクス。そんなのがアピールポイント?」
「そんなの言うなよな!」
ザックスは笑うなよ!って言うけど、バカにしてるんじゃないよ?
ザックスと居るとね?
楽しくって自然と笑顔になっちゃうの。
だから――。
「んで?」
「うん?」
「どっちの俺の方がエアリスの好み?」
「前。」
「うっそ!?」
「って言ったら元に戻す?」
「え?あ、おっどろいた〜。うーんどうかな?あんま考えてなかったな…。」
「ふふっ。どっちも!」
「…マジ!?」
「うん。どっちでも同じ。」
「どっちでも同じ!?なんだよ〜。結局ぬか喜びかよ〜。」
「ふふっ、どっちのザックスにも私は夢中。かな?」
「もっかい!エアリス今のもう一回言って!」
「残念。品切れでーす。」
「お願い!な?ダメ?もう一回でいいから!」
だから、“どっちか”なんていじわる言わないで
両方とも私にちょうだい。
なーんてことは目の前で土下座を繰り返すお調子者のソルジャーさんには
しばらく、教えてあげない。
「クスクス、ごめんね?」