I
f...ひらけゴマ!
帰らない彼を待って、半年が過ぎた。
一年が過ぎ、
二年経ち、
三年。。。。四年。。。。
昔の事、天井にぽっかり空いたままのあの穴だけが、
まるで別世界の出来事のように輝いている。
五年―――。
会いたいです。
今でも私はあなたに会いたい。
今でも、そしてこれからも、あなたの帰りを待っています。
でも・・・
「ざんねん。今日もまた、帰ってこなかったね?」
自然と思ってしまう。
“やっぱり”って
ちょっと前までは、彼が作ってくれた花売りワゴンでお花、売っていたのに
今は、代わりのカゴで少しずつ売っている。
壊れた花売りワゴンは、
彼がココには居ないと、思い知らせる――
私の胸を、締め付ける。
(いやだなぁ・・・。)
思い出しか見れないのは、いや。
昔の事だけが輝いてるなんて、いや。
なんで、昔なんだろう・・・。
なんで、今じゃないんだろう・・・。
なんで――。
「なんで、私は五年間、ただ待ているだけだったんだろう・・・。」
(待っているのは、もういや。)
そうだ。
ザックス、言っていた。
(手を伸ばせば、世界は変わるかも知れない。)
あの扉は
開かれるためにあるのか。
閉ざされるために存在するのか。
手を伸ばしてみれば分かること。
開くのは時間の問題。
新しい光と音が教会内に広がり、違う時間が動き出す。