仲が良い。
って言うのはさ、いつも一緒にいたり、バカやったり、笑い合えるような仲だと思うんだよね。







『百聞は一見に如かず!』













クラウドと二人の帰り道、アタシはさっき手に入れたばっかりのお宝を抱えてクラウドの後を上機嫌に歩いていた。












(へへへ、たっくさんマテリアが手に入っちゃったもんね〜。中にはレアなやつもあるっぽいし、こりゃ大儲けっ!)


(後は如何に上手い事言ってコレをクラウドから頂くかだけど…まぁ、ユフィちゃんの魅力をもってすればイチコロなんだし、心配いらないよね。)



ウキウキなアタシは鼻歌なんか歌いながら自分の輝かしい未来予定図でいっぱいだった。だって当たり前じゃない?まさに順風満帆だったんだからさ!


(へへへ、ぜーんぶアタシのマテリアだもんね〜…)

いくらこのアタシだって気づけるわけないじゃん?抱えていたマテリアをぎゅっと抱きしめて頬擦りしてる方が断然楽しいくって、


ドンッ!「イテッ!」




目の前のチョコボ頭なんかに回す気なんてこれっぽっちだって余ってなかったんだからさ!



「なんだよクラウド!いきなり止まるなよなー!」




「‥‥‥‥‥。」






「おーいクラウド?聞いてる!?」

「‥‥‥あぁ。」



気のない返事を返すクラウドの顔を見たら、珍しく何かを熱心に見てた。



(何見てんだ?)


クラウドの背中からひょい、と顔を覗かして視線の先を辿ってみたら──



「‥‥花‥‥‥?」


「‥‥‥あぁ。」



「‥‥花がどうしたっていうのさ?」

「いや‥‥。」



(こいつそんなガラだっけ?クラウドにそんなイメージ無いんだけどなぁ…。)



「クラウドって道端に咲いてる花なんかに立ち止まるような奴だっけ?」


「…それぐらい見れば分かるだろ。」

ムカッ。




「どーでもいいけど謝ってよね!」


「?何をだ?」



「クラウドが急に止まったりなんかするからアタシがぶつかっちゃったじゃん!ユフィちゃんの可愛い鼻が低くなったらどうしてくれんのさ!?」


「悪かったな。」



(くっそ〜。このツンツン頭めぇ!少しはすまなさそうに言えよな!)


いつかクラウドは一泡ふかせてやる。と誓ってズンズンと、のろまなチョコボを追い越してやった。



(まったく、エアリスもあんな奴のどこが良いんだか。)





(アタシには理解できないね!)























(‥‥‥‥ん?)




突然、頭の中に思い浮かんだもの。



アタシはそれが気になって振り返ったら、クラウドはやっぱりまだ花を見つめてた。



(もしかしてクラウドの奴…。)



「‥‥なークラウド?もしかしてさ、」



アタシの呼び掛けに微動だにしなかったから、やっぱ言うの止めようかと思ったんだけど、名残惜しそうに振り返ったクラウドが続きを促す眼をしてたから、つい思ったこと思った通りに口にしちゃってた。










「影響受けて、花好きになったんでしょ!?」










「‥‥影響?興味ないね。エアリスじゃあるまいし何言ってるんだ?」



驚いた…。


うちのパーティーリーダーは底無しの鈍さの持ち主みたい。


っていう疲れる。なんでこんなに鈍いわけ?






「興味ないね」なんて言いながらクラウドは一体どの位その花とにらめっこを続ける気なんだってーの!



本当に興味なかったら気にも留めないし、気づきもしないに決まってるじゃん!現にアタシがそうだったんだしさ。













まったく…



「じゃあ何で立ち止まったりしたのさ?」



「別に…。」



別に。じゃなくってさ、このユフィちゃんが助け船を出しやってるんだから気づけよな!?



「ただ…」


「ん?」










「エアリスがいたら立ち止まって、この花について興味もない話を色々聞かされるんだろうな。って思っただけだ。」




それって何…もしかしてさ、



「‥‥‥のろけ話し?」




「何がだ?」




「エアリスに言ってやったら喜ぶんじゃない?」


「言うって何をだ?」


「‥‥‥‥‥‥‥‥。」



「ユフィ?」



呆れた。




「はぁ‥‥わかったクラウド。」

「さっきっから何なんだ?」





「その花、持って帰ってエアリスに渡してみなって。ただ渡すだけで何も言わなくても良いからさぁ。」



「なんだそれ?」


「いーから!」



不服そうな顔をしながらもクラウドは大人しく言われた通りに花を持って帰ることにしたらしい。



女の人みたいな綺麗な顔してても、やっぱり男らしく手は少し大きめでちょっとはゴツい。









そんな手が、本人曰く興味ない花を大切そうに摘んでた。





「こんな道端ので良いのか?」



「いーんだって。クラウドが興味──じゃなかった立ち止まった花ってのがポイントなんだから。」



興味もった花。なんてうっかり言ったりしたら、まーた「興味ないね」なんて言いかねないからなクラウドは。



「‥‥‥‥。」



「どうしたのさ?首なんか捻って。まだ何か不満なわけ?」




「いや…」


「じゃあ何さ?」



















「‥‥本当にこの花でエアリスは喜ぶのか?笑ってみせてくれる程のモノか?」





「…バーカ。」




アタシを睨んだ眼がいつもと違って子供っぽい。



へへっ、珍しく一生懸命じゃん?





(にしても…)











(コイツでもこんな顔出来るんだなぁ。)








その後の帰り道、宿屋が見えるまで、クラウドは花の持つ場所や、角度とか何か色々と気遣いながら歩いてた。


クラウドがそんな知識があったなんて思えないから、きっとエアリスに聞かされた話を思い出しながら実践してんだろうけど…



宿屋が見えるまで、ってのが意地っ張りって言うか素直じゃないって言うか…クラウドらしいよなぁ。














「エアリス。」

「なーに?クラウド。」





「これ咲いてたんだ。」

「わぁ!すごい可愛いお花だね!ふふっ、クラウド実はお花。見つけるの得意なんだ?」





「たまたま咲いてただけだ。」



まぁ…嘘じゃないけどさ…。



(もっと気の利いた言い方をしろよなー!)



なんて思わずツッコミそうになった言葉を飲み込んで、何個かのお宝をくすねつつも遠目で見ながらしっかり聞き耳を立てる。



「これ、くれるの?」


「欲しいならな。」


「クスクス、ありがとう?クラウド。」



「‥‥‥‥‥‥。」





(へー…。)






(アイツでも嬉しそうな顔するんだ。)







仲が良い。
それはいつも一緒にいたり、バカやったり、笑い合えるような仲だと思ってた。


でも





「気に入ったんなら、またとってきてやる。」


「うん。期待してる!あ、でも今度は一緒に行きたいな〜。ダメ?」



「どうせ断ったって無駄なんだ。」


「クスクス、クラウド。やっぱり優しいね?」



「‥‥‥別に。」








(こーゆーのもアリ、だよね。)


二人がキラキラと輝いて見えたのは、マテリアを透して見たせいだけじゃない。








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お待たせしました!くるみ様に捧げる10000hitのリクエストで『第三者目線のクラエア』です(^-^)
どうでしょう?純粋なクラエアを描くのは初だったのでちゃんとクラエアになってるかドッキドッキです(汗)少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです(*^^*)

2011 09 15



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