ソルジャー2ndって言えば、3rdよりも少し偉くて、1stよりは偉くない。






つまり中間管理職的なポストなわけだ。





だから




こんな埃っぽい密室でそれなりに重要な書類整理なんてものもさせられたりする。



それなりに重要な書類ってゆうのは、3rdには見せられないが、1stの手を煩わせるほどでもない、そこそこの書類ども。つまり“それなりに重要”な書類。





でも、俺が求めてるのは“それなり”じゃなくって“トップシークレット”だから俺の知りたい事はこの部屋にないのなんて分かりきってるわけで、つまり俺の感想は










≪退屈≫だってことを声を大にして言いたい。




「おいおい、カンセルせんぱい真面目にやってくださいよね。」



こいつは先月ぐらいに2ndなったばっかりで…





名前は何て言ったっけかな?




最近は俺の好きなうわさ話も仕入れが滞り勝ちになってて情報屋は休業中。
そのせいで、俺としたことが頭に“?”を浮かべることが多くなってきてる。



なんてったって最近の俺の生活スタイルは訓練に精進し、可能な限り積極的に任務をこなし、スラムに下りて教会に足を運ぶ。




一体誰の話だ!?と自分で自分を疑いたくなるようなライフワークなんだから参っちまうよ…。




「聞いてます?せんぱい。」


確かにネタは不足しているが



「あー悪い悪い。」



情報屋としての目は衰えてない。その証拠に…




「まったく、ちゃんとやってくださいよ。俺の足を引っ張らないように頼みますよ?せんぱい。」


「‥‥‥‥‥。」



コイツは俺に対してこれっぽっちも敬意なんてものはない!と断言できる。




まぁいいけどね。2、3回話したことある程度だし、別に尊敬してほしいわけじゃないさ。だから全然気にならん。



そうさ、だいたい別に尊敬してほしくてソルジャーやってるわけじゃないんだしな。




気にならん!全然な!




「なにボサッとしてんですか。そっち終わりました?」


「‥‥なぁ?」


「なんスか?」


「俺、キミの先輩だよね?」


「はぁ?なに言ってんスか急に。」



「いや‥‥‥なんでもないさ。」




不審そうな顔で首を傾げるのはヤメロ。俺だって最近の若い奴らの礼儀の悪さには参ってるんだからな。




なんて思うだけで口に出来ない俺はやっぱり情けないよなぁ…。





どう思う?エアリスさん。




(はぁ‥‥‥。)




「あっ、せんぱい見てみてくださいよ。」


「ん?」



言われて後ろから肩越しにコイツの持っていた書類を覗き込んだら


















見慣れた字が並んでいた。










ザックス・フェアの履歴書だった。



紙面にはおよそ履歴書と思えないような内容が書かれていた。






友達をたくさん作りたいだの
世界中を旅行したいだの
夢は英雄だの
特技はスクワットだの


極めつけは

≪好きなものは女の子≫




アホか!?アイツは!履歴書になんつーこと書いてんだ!?





アイツらしいって言えばアイツらしいが、少しは物事考えてから──


「コイツですよね?せんぱいが前話してたザックスって奴。」



‥‥‥あ?




「ぷっ。あはははは!ホントいい加減でガキっぽい奴だなぁ!おまけに女好き!ろくでもない奴だっ──」



ガタンッ!!!



一人のソルジャーが壁に叩きつけられた。胸ぐらを掴まれて随分と苦しそうだなぁ?えぇ?



「なっ‥‥がはっ‥‥」





確かに俺はお前に“いい加減でガキっぽい奴”って言ったかもしれねぇ…。



でも




「───はねぇ…。」



「‥‥ぇ‥‥?」




















「お前に言われる筋合いはねぇ!!!」


ガツンとお互いのメットがぶつかる。いや、一方的だから頭突きに近いか?




にしてもソルジャーの身体能力の高さには驚かされるね。



胸ぐらを掴んだまま大人一人を数メートル離れていた壁に一瞬にして軽々と叩きつけられるんだからな。



目の前の礼儀のなっていない後輩だって同じソルジャーで必死に抵抗して見せてるが






悪いな。


俺のライフワークをナメるなよ。




「や、やめ…」


「‥‥‥‥‥。」



止めてやるかどうか悩んだ。




いくらコイツが謝ったって耳にこびりついたコイツの言葉は消えないし、笑った事実は変わらない。




しかし、そうなると俺は一生こうしてコイツとここで仲良く壁際で生活しなくちゃいけない。





「‥‥‥‥‥‥。」



「はっ!‥‥‥はぁはぁはぁっ!」





‥‥仕方ない、か。




「な、なにするだよ!?急に!」



「‥‥‥‥‥。」



「なんとか言ったら──」
「おい。」






「な、なんですか…」



「俺の事をソンケーしろとは言わないし、礼儀だってこの際どーだっていい。」



















「知りもしねぇで俺の友人をバカにすんなッ!」



「‥‥すみませんでした。」






中間管理職をこなしてる情けない情報屋にだって譲れないもんがあるんだ。




覚えとけガキ!











-----------------

きっとカンセルは自分の事より友達とか人のために怒れる奴だと信じてます(^^)

2011 09 14



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -